2023 Fiscal Year Research-status Report
口腔感覚入力が咀嚼特性と嚥下動態に及ぼす変調効果の解明
Project/Area Number |
22K17134
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 拓 新潟大学, 医歯学総合研究科, 非常勤研究員 (20929640)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 筋電図記録 / 嚥下造影 / 摂食嚥下 / 咀嚼 / 口腔感覚 / 歯根膜感覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会を迎えた本邦において、摂食嚥下障害の病態解明は、医療介護分野で求められている安全な食支援につながる重要な課題であるが、咀嚼過程の中で、歯、歯根膜、舌、口腔粘膜等の口腔感覚入力が及ぼす影響を食塊形成や続く嚥下運動に与える影響という観点で調べた研究は少ない。本研究では、ヒトを対象として、中枢への豊富な投射パタンをもつ顎口腔顔面領域からの入力が、一連の運動工程にいかなる変調をもたらすかを検証し、円滑な摂食嚥下運動の遂行に関わる顎口腔顔面領域の感覚機能の重要性を明らかにすることを目的としている。 令和5年度は、健常若年者を対象とした実験データの解析を行った。片側歯根膜への局所麻酔が、麻酔側ならびに非麻酔側に及ぼす影響を検証するため、4条件間(麻酔前の麻酔側、麻酔前の非麻酔側、麻酔後の麻酔側、麻酔後の非麻酔側)での比較を行った。被験食には、バリウム含有の寒天ゼリーと米飯を用いた。嚥下造影データより、咀嚼のサイクルタイムならびに、開口相時間、閉口相時間、咬合相時間は、麻酔後の麻酔側で有意に延長した一方で、他3群間では差を認めなかった。また、食塊の口腔移送時間についても、麻酔後の麻酔側で有意に延長した一方で、他3群間では差を認めなかった。グミゼリーを用いた咀嚼能率試験においても、麻酔後の麻酔側でのみ有意に低値を示した。嚥下咽頭期に関連する解析項目(食塊の咽頭通過時間、食道入口部通過時間、舌骨挙上時間、喉頭挙上遅延時間、嚥下回数)は4群間で差を認めなかった。 これらの結果より、片側の歯根膜感覚の消失は、感覚消失側の口腔機能を障害する一方で、非消失側の口腔機能ならびに嚥下咽頭期機能には影響を及ぼさないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本科研が採択された後に、研究計画について大学倫理委員会に申請し、承認を得たため、実験を開始するのが遅れてしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は嚥下造影データの解析行った。令和6年度は、筋電図記録データを中心とした解析を進め、口腔感覚の消失が咀嚼や嚥下動態に及ぼす影響を多角的に検証していく。
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Causes of Carryover |
当初参加予定であった、第29回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会への参加を見送ったため予算の一部を次年度に繰り越すこととなった。次年度は最終年度であるため、論文執筆、投稿に係る諸経費に充てる予定である.
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Research Products
(6 results)