2022 Fiscal Year Research-status Report
リン酸化酵素SGKを基軸とした末梢神経障害の新規治療計画
Project/Area Number |
22K17611
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
森本 浩之 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (10847453)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | SGK1 / シュワン細胞 / 末梢神経損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
外傷等における末梢神経軸索損傷の際、損傷された軸索を再生させるために未成熟なシュワン細胞が髄鞘形成に関与することが知られており、その際の分子基盤を基にシュワン細胞を標的とした末梢神経損傷の治療戦略が模索されている。申請者はこれまでグリア細胞におけるリン酸化酵素SGK1の研究に注力してきた。その過程で、マウスの末梢神経の挫滅部位での未成熟なシュワン細胞の増殖と、それらの細胞でSGK1の発現増加、また、培養シュワン細胞のSGK活性の阻害による髄鞘形成促進因子の発現上昇、の2点を見出した。これらの結果から、 SGKは末梢神経損傷時のシュワン細胞の増殖・分化の鍵となる可能性がある。本研究では、SGK活性の変化がシュワン細胞の増殖・分化に関わる分子原理を明らかにし、マウスの末梢神経損傷モデルを用い、損傷時のシュワン細胞におけるSGKの発現変動とその意義を見出す。 その上で、運動等によりSGKの活性レベルを調節し、それを指標として神経損傷からの回復に寄与する可能性を探る。 本年度では、7-10週齢のオスのBL6マウスを用い、麻酔下で坐骨神経を挫滅し、SGK1および未成熟なシュワン細胞のマーカーであるGFAPを染色し、神経再生の過程でSGK1とGFAPの発現が増加することを確認した。さらに、坐骨神経の挫滅に伴いマウスの足趾の動きが減少したことを確認した。今後は、電子顕微鏡などを用いて神経挫滅部位の詳細な観察を計画している。また、培養細胞を使用してSGK1阻害剤を投与し、細胞の分裂や形態学的な変化を確認する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗状況は、当初の予定通り概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、電子顕微鏡などを用いて神経挫滅部位の詳細な観察を計画している。また、培養細胞を使用してSGK1阻害剤を投与し、細胞の分裂や形態学的な変化を確認する。
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Causes of Carryover |
本年度では、主に坐骨神経損傷モデルの作成と神経挫滅部位におけるSGKの経時的変化を検討していたため、当初予定されていた神経損傷後のSGKの抑制による髄鞘形成促進の検討は次年度に延期した。また、コロナ禍の影響により学会や研究会等の参加を見送ったため旅費などは次年度に繰り越した。
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