2023 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷の再生医療における運動介入の効果に関する研究
Project/Area Number |
22K17644
|
Research Institution | Aino University |
Principal Investigator |
塚越 千尋 藍野大学, 医療保健学部, 講師 (20782478)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 脊髄損傷モデル動物 / リハビリテーション / トレッドミル / 行動変化 / 免疫組織学的評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
再生医療による難治性疾患の治療研究が進んでおり、脊髄損傷においても細胞治療の応用が進められている。脊髄損傷モデル動物への細胞治療は神経再生に有効とされるが、細胞移植等により脊髄組織が得た再生および自己修復機能を後押しする役割として、リハビリテーションを組み合わせた機能再建が注目されている。本研究の目的は、脊髄再生治療の効果を高める運動介入手法を探索し、その効果を検証することである。 これまで、後肢不全対麻痺の状態の脊髄損傷モデルラットを対象とし、術後2週目から6週にわたって、自発的運動が可能なリハ環境に置く条件と、トレッドミルによる強制的な運動を負荷する条件の2つの運動介入群および対照群を設定し、運動機能(BBB、歩行パターン)、免疫組織学(軸索の再生・伸長、再髄鞘化)的に差があるかを調査してきた。結果としてどちらの運動介入群も対照群よりBBBスコアが有意に高くなり、再生軸索の延長も明らかな印象があった。この結果は、2022年のNeuroscienceで発表した。 2023年度は、トレッドミルによる強制的な運動条件で、介入の頻度および時間を増やし、その効果を検証した。評価方法は以前と同様とした。前年度の結果と比べて、リハ強化群では、個体差はあるものの、BBBスコアの伸びが、介入期間の後半にも持続する印象があった。この結果は、2024年のNeuroscienceで発表予定である。 本研究のゴールは、運動介入単独群、移植単独群、運動介入と移植併用群を設けて、細胞移植の併存療法として運動介入が有効であるかを検討することである。現在は、より良い運動介入方法を探索し、運動が引き起こす動物の行動変化の背景因子を探索している状況である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学院の授業を一部担当することになり、担当授業コマが増加したことに加え、学科運営の仕事も重なり、研究は後期になんとか進めている状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)自発運動と強制運動の差、および運動の頻度・時間を増やした効果を明らかにするために、個体数を増やして調査する。 2) 運動介入の有効性を検討する為、運動介入単独群、移植単独群、運動介入と移植併用群を設け、運動機能(BBB、歩行パターン、脊髄伝導性)、免疫組織学(軸索の再生・伸長、再髄鞘化)、生化学(神経栄養因子シグナル発現等)など総合的な側面から検討する。
|
Causes of Carryover |
運動誘発電位の計測の際に、研究補助として来てもらう予定だった方に人件費あるいは謝金を支払う計画だったが、出産・育児のために来れなくなったため使用しなかった。誘発電位ではなく、生化学的な分析に切り替えて、試薬と必要器具の購入に充てることにした。
|