2023 Fiscal Year Research-status Report
イップスの維持要因の精緻化および認知行動療法の効果検証
Project/Area Number |
22K17680
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
井上 和哉 立命館大学, 人間科学研究科, 助教 (60880383)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | イップス / 認知行動療法 / アクセプタンス&コミットメント・セラピー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、スポーツ競技者におけるイップスの維持要因を整理し、維持要因に対するアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT:心理療法の一種)の有効性を検討することである。
2023年度は、2020年度から取り組んでいた野球の送球イップスの維持要因に関する調査研究の成果(スタート支援:20K23267)を大学の広報などで一般向けに公表した。
さらに、イップスの維持要因の候補のひとつとして、臨床行動分析におけるプライアンス(社会的に媒介された結果(承認や罰)との一致によって動機づけられた行動)とトラッキング(自分の行動と結果の機能的な関係を観察し、実際の結果に基づいた行動)に着目し、それらの行動の傾向を測定する質問紙を作成し、1500名を対象とした調査研究によって、信頼性と妥当性の検討を行った。プライアンスとトラッキングはイップスの主たる要因ではないと考えているが、スポーツパフォーマンス、ウェルビーイング、イップスの改善を検討していくうえで重要な変数であると想定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、イップス経験者に対するインタビュー調査によって、イップスの維持要因の候補を検討する計画であった。しかしながら、所属先の変更に伴い、参加者のリクルートが困難であったことと、2023年度はこれまでの研究成果の公表に力を入れたため、新たなデータ収集については2024年度に実施する計画に変更した。
一方で、イップス、スポーツパフォーマンス、ウェルビーングとの関連も想定されるプライアンスとトラッキングの傾向を測定する質問紙尺度を開発し、信頼性と妥当性を検証できたことについては、一定の社会的意義があると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はイップスに対するアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT:心理療法の一種)の介入効果の検証を行うため、6月中に倫理書類を提出し、研究を進めていく予定である。そして、7月~9月に少数の参加者に対してACT介入を実施し、効果の検証を行う。研究成果を研究会や学会で発表し、2025年2月に研究成果を国際誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
理由について特になし。次年度使用額については、実験機材を購入する際に使用する計画である。
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