2022 Fiscal Year Research-status Report
Non-policy safety net formation through mobile work and residence and exploration of the possibilities of interim and co-living.
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22K18511
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
水内 俊雄 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 客員教授 (60181880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
コルナトウスキ ヒェラルド 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (00614835)
筒井 由起乃 追手門学院大学, 国際教養学部, 教授 (10368186)
垣田 裕介 大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (20381030)
武岡 暢 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (90783374)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | モバイルな就労 / モバイルな居住 / 生活困窮自立支援 / 就労による包摂 / セーフティネット |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の動機は、コロナ禍が暫定的で不安定居住にある暫居や共居を介し雇用先も変わるモバイルな就労と居住のセットを皮肉にも炙り出した。このセットは派遣業で先行し、「就労による包摂」というコンセプトによるセーフティネット(SF)が、生活困窮自立SFと連携しながら機能するという仮説の検証が主課題である。(1)モバイルな就労と居住のセットのSF的中身,(2)政策が意図しない自立的SFの形成と政策的SFとの連携、(3)それを支える居住様態としての暫居・共居の可能性の追究を行う。否定的に取られ勝ちなこのセットをSFとして捉え直し、その効用を明らかにする。この実証の実績について概述する。 (1)については、(1)-a:第一次産業の季節労働者を中心とする就労と居住の実態調査、(2)については、(2)-b:派遣業による社員寮での就労の実態、および生活困窮自立支援の窓口からみた派遣業の利用実態の分析、そして(2)-c:盛り場を拠点とする生活娯楽風俗産業の労働者及び経営者に関する分析、そして、(2)-d:外国人労働者を中心とする調査分析が追加され、(1)(2)の双方の視点を有しつつ進められた。(3)については(1)(2)それぞれのフィールドにおいてなるべくハウジングの状況を聞くという形で調査を進めた。 。しかしながら(1)では、第一次産業に焦点をあわせ、地方の人口密度の少ない、また密度の高い居住をしていないエリアでの調査であったため、コロナの影響は殆ど見られなかった。(2)では、生活困窮の窓口から社員寮につなぐ事例が激減した代わりに、住居確保給付金や一時貸付金の制度がフル回転し、延長等もあったため、その観点から制度的SFが機能したといえる。生活保護を使うことなく「就労」への復帰を前提とした制度利用という今までに見られないSF機能が働いたことが判明した。外国人の支援調査については緒についた所である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査メンバー的には、(1)-a:第一次産業の季節労働者を中心とする就労と居住の実態調査については、水内が中心となって新たな研究協力者として建築学の西野雄一郎氏とともに進めた。(2)については、(2)-b:派遣業による社員寮での就労の実態、および生活困窮自立支援の窓口からみた派遣業の利用実態の分析は、垣田が中心となった。そして(2)-c:盛り場を拠点とする飲食娯楽風俗産業の労働者及び経営者に関する分析、については武岡が中心となった。(2)-d:外国人労働者を中心とする調査分析が追加され、これについては、コルナトウスキ、水内、筒井が進めた。 (1)については、和歌山県みなべ町や田辺市を中心とする梅農家の季節労働者についてのかなり建築学の院生の中心に調査のスタートを切り詳細な仕事と生活状況、そして国内外移動の実態が明らかになった。(2)-bについては、社員寮の利用がコロナ禍で生活困窮自立支援の窓口からは急激になくなってしまい、社員寮自体もコロナ禍で建設業などはあまり打撃を受けなかったこともあり、比較的落ち着いた対応が見られた。そのための調査は昨年度はできなかった。一方で盛り場の飲食娯楽風俗産業においては、コロナ禍の影響は総じて大きかったが、住居確保給付金や貸付金の利用により、離職はしたが生活は維持できたという状況が確認された。むしろ離職者がもとの職場に戻らずコロナ禍後の労働需要に追い付いていない実態が明らかになった。(2)-dは外国人労働者のセーフティネットをモバイルな就労、モバイルな居住から見るというアプローチであり、大阪、福岡、横浜においてそれぞれ定点的な調査協力機関との連携が取れ、データ収集の見込みができたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の経済リバイバルがかなりの勢いで進んでいるように見受けられ、それを切り抜けることに貢献する立役者となった生活困窮自立支援における住居確保給付金と社会福祉協議会における貸付金制度のフル回転が、ある種忘れされるような事態にもなってきた。 まちがいなくセーフティネットとして機能したのであるが、もどもどモバイルでない居住においてモバイルでない就労は、コロナ禍で脅かされたが、モバイルな状況には移行しなかったといえる。 しかしこのコロナ禍を機にして飲食娯楽風俗産業の現場に入ることができ、モバイルな就労と居住という観点では外国人の存在が大きくクローズアップされた。そのために(2)-dの外国人への仕事と就労の実態を明らかにするアプローチは今後の研究の中心的位置を占めることになる。日本人中心への同産業従事者と経営者のヒアリングは引き続き積み重ねてゆく。モバイルな就労と居住を発見する契機となった社員寮とよびとの経営者へのヒアリングは再度挑戦し、生活困窮者自立支援事業との関係性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
前年度予定していた社員寮調査とそれに関連するセーフティネットの機能というところで、生活困窮者自立支援事業の窓口の調査が、事例がないということで調査をおこなうことができなかった。次年度においてはコロナ禍が去ったと思われる中、この実態がどのように展開するか、読めない分はあるが、この分野への調査を再開する。
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Research Products
(9 results)