2022 Fiscal Year Research-status Report
Developing Education Methods for Inclusive Debate
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22K18593
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 奈良彦 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (90184762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 健治 九州大学, 言語文化研究院, 学術研究者 (90818361)
加藤 彰 九州大学, 言語文化研究院, 学術研究者 (80818360)
竹中 野歩 九州大学, 言語文化研究院, 学術研究者 (50818383)
張 小英 九州大学, 言語文化研究院, 共同研究者 (00914962)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | ディベート / インクルーシブ教育 / 議論教育 / 教育機会の平等 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は言語や障害等の壁を越えて誰もが平等に参加できる「インクルーシブ・ディベート」の方法を開発し、検証することである。過去数年で急速に技術が進歩している音声認識、音声合成、自動翻訳、アバター等々の汎用ツールを用いて「インクルーシブ・ディベート」のルールを検討し、①あらゆる属性の人のディベートへの参加障壁を低減する方法、②審判による判定の中立性及び公平性の向上に資するディベート方法、の2点を検証する。 2022年度に取り組んだのは主に②についてである。ディベートでは、一つの命題に対し、肯定・否定の立場から根拠に基づく最善の論証を提示し、相手側の論証の問題点を指摘し、第三者(=ジャッジ)がその命題が論証されたかどうかを判断するが、判断の根拠は議論の内容に基づく必要がある。しかしディベートは言語コミュニケーションであることから、合理的判断を妨げる要因(言語能力、話し方、声や外見等々)から影響を受ける可能性も否定できない。 そこで手始めに「音声、話し方」という変数に着目し、ディベートの音声を人工音声に変換すると判定に影響が出るかどうか検証した。過去に行われた実際のディベートの試合データを基に、そのままの人間の音声のディベートと、発話内容は同じで音声読み上げソフトによる「読み上げディベート」を作成した。それらを日本語あるいは英語のディベート経験者の大学生被験者に視聴してもらい、フローと判定、スピーカー順位をつけてもらうパイロット実験を行った。また、被験者にインタビューを行い「読み上げディベート」については多少の違和感があるものの抵抗感は少なく、判定に大きな影響は出ていない可能性が高いと分かった。今後、読み上げ・音声変換といったツールを「インクルーシブ・ディベート」に導入する方法を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は以下の実験を行った。 過去に実際に行われた日本語ディベートの2つの試合について、それぞれ、そのままの状態の「通常ディベート」と原稿を機械音声に読み上げさせて作成した「読み上げディベート」の2つ用意した。論題はなるべく判定が割れたものを選び、「①日本は、死刑を廃止すべきである。」「②日本は、外国人労働者の受け入れを拡大すべきである。」の論題を選定した。日本語準備型ディベート経験者4名と英語即興型ディベート経験者4名に対し、2人ずつのグループに分けて、①通常→②読み上げ、②通常→①読み上げといった順でディベート動画を視聴してもらい、判定とスピーカー順位を出してもらった。また、実験終了後にインタビューを行った。研究チームの予想以上に、被験者(大学生)は「読み上げディベート」への抵抗感は少なく、多少の違和感を抱く声もあったが「内容重視で判定を出した」「逆に聞き取りやすい」といった意見も出た。YouTube等で機械音声に慣れ親しんでいたり、自身の声を変換させた経験等から若年層にとって音声変換は受け入れやすいツールである可能性が高く、今後の「インクルーシブ・ディベート」の方法に取り入れようと研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度のパイロット実験とインタビューは小規模であったため、音声変換が判定に影響を与えているかどうか判断がつかないため、同じ実験とインタビューを被験者を増やし、継続する。また音声に加えて、アバター機能を利用した覆面ディベートについても動画を作成し、実験したいと考えている。さらに、発言内容以外の要素が判定に与える影響について検証するため、ディベート経験のない(あるいは浅い)被験者集団に対しても同じ動画を見せ、判定を出してもらう実験も行う予定である。 また、どのようなツールを「インクルーシブ・ディベート」に取り入れ可能か検討するために、大学のディベートクラブの協力を得て、実験的にディベートと判定を繰り返し、①あらゆる属性の人のディベートへの参加障壁を低減する方法、②審判による判定の中立性及び公平性の向上に資するディベート方法の2点の検証を続けていきたい。
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Causes of Carryover |
2022年度は大学の部屋を無料で利用できたため、実験スペースの契約料が必要なかった。また、パイロット実験用のディベート動画作成にあたっては無料の合成音声読み上げサービスを利用した。このような理由から想定よりも、使用額が少なかった。 2023年度については、学会発表や資料収集のための旅費が発生する。また、研究をさらに加速させて進めるため、学外分担者も追加予定であり、学外分担者との打ち合わせ・実験のための旅費が多く発生する。2023年度は研究代表者の井上が定年により常勤教員ではなくなったため、大学の施設等の利用が有料になる。 このような事情から、レンタルルームと光熱費に40万程度、テクニカルスタッフ・アルバイト雇用に70万程度、PC、タブレット,本等の購入に40万程度、旅費に50万程度使用予定である。
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Research Products
(4 results)