2022 Fiscal Year Research-status Report
Core functions of logistics route finder achieved in plasma-channel experiments
Project/Area Number |
22K18704
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
酒井 道 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (30362445)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | プラズマ / 物流ルート探索 / 強化学習 / アナログコンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、以下を研究目的としている。多地点間のエリア内物流ルート網と、電極が多数存在する場合に生じる多数の長尺プラズマチャネル形成との間の情報フローの類似性に着目し、最適物流ルート探索解を求めるアナログコンピューティング機能をマルチ長尺プラズマのパターン形成により実現する。開発済みのプラズマチャネルによる迷路解法において電極対を増加させ、発光パターンからの多数チャネル形成の高速動画像を得る。また、別途報告済みの強化学習系の計算機自動演算による最短物流ルート探索(格子状ネットワークにおける発送/配送地の多地点分布形状)の結果と対照させて、両者の間に情報フローの類似性を見出す。そして、その類似部分について、プラズマ形成の様子を、物流ルート解法の全体あるいは一部に置き換えることで、計算機演算と比べて桁違いの高速解法を開発する。すなわち、「NP困難」である物流ルート探索問題への活用を例として、プラズマが持ちうるアナログコンピューティング機能を評価する。この内容について、実験・理論の両面で研究を遂行している。 本年度の具体的な研究実績は以下の通りである。まず、これまでに成功していた格子状のチャネル間の迷路探索状態から、直流放電を誘電体バリア放電に変更し、かつ電極の数を増やした状態でプラズマ生成を試みた。すると、複数の電圧印加電極から複数の設置電極に対してプラズマチャネルが安定して形成されることを確認した。直流放電のままだと、プラズマチャネルの数は限られるはずだが、そうではなく、マルチなチャネル構造をとることが確認できた。また、物流模擬の数値計算において、エージェントの多数化に伴う計算にも成功した。 そして、学術論文発表および学会発表を積極的に行い、プラズマ理工学ならびに複雑ネットワーク科学といった学術分野、両分野にまたがる学際分野の発展への寄与を目指して活動した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度を含め、研究実施計画に掲げた項目はすべて達成しており、さらに新規の成果を得ることができた。計画していた内容として、計画していた構造とほぼ同様の状態の誘電体バリア放電の生成に成功したことで、計画通りの順調な進展が見られた。従って、来年度はこの成果に引き続き、電極の上下位置の制御をすることで実際の物流量の模擬が可能かどうか、という検討をスムーズに行うことができる。 さらに、物流模擬の数値計算において、エージェントの多数化に伴うマルチエージェントシミュレーション結果を得た。これにより、エージェントの多数化で通過経路は異なるものの、エージェントの数に関わらずのべの移動回数としてほぼ同様の結果を得た。これは、エージェントの数を増やすことで、短時間に配送が終了することを意味する。 また、計画していなかった成果も多く確認され、研究の波及効果が拡大している。特に、今年度の検討における大きな追加の成果として、今回用いるのと酷似の2次元的な導体構造において、電磁波伝搬としてBIC(Bound states In the Continuum)モードの発現を理論予測した。本研究で実験している電極サイズに適用すると、20 GHz程度と想定され、同様のプラズマ生成を行うことで、ルート探索機能と同様に、次世代携帯電話用通信の可変制御デバイスが設計できる可能性がある。すなわち、当初の計画にとどまらず、新たな視点・応用先を見出す等、計画を超える成果を得た。 このように、本研究を核として、予想以上に多くの波及効果を伴って、研究成果の展開を図ることに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、計画通りに研究が進捗したのに続き、今年度も計画通りに研究を遂行する。
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