2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K18722
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川崎 教行 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (50770278)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 初期太陽系 / 微惑星 / 二次イオン質量分析法 / 年代測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,炭素質コンドライトおよび小惑星リュウグウ試料に含まれる炭酸塩鉱物の粒子間の形成年代バリエーションを明らかにするために,炭酸塩鉱物の高精度Mn-Cr鉱物アイソクロンを取得する。高精度のアイソクロンを取得するために必要な条件は,炭酸塩鉱物中からMn/Cr比(Mn-Crアイソクロンの横軸)の大きい領域を局所分析し,かつCr同位体比の分析精度を向上させることである。それらの条件を同時に達成するために,二次イオン質量分析法において,一次イオンビーム照射によりスパッタされた試料から放出された二次イオンの収率をできる限り高めるよう試みた。北海道大学のマルチコレクター型二次イオン質量分析装置(Cameca ims-1280HR)を用い,Mn-Cr鉱物アイソクロンに必要な3つの二次イオン(52Cr+,53Cr+,55Mn+)を,必要な質量分解能を保ちながら,3つの電子増倍管により同時検出できるようセットアップを行った。 そして小惑星リュウグウのサンプルに含まれる炭酸塩鉱物について,同手法を用いてMn-Cr同位体分析を行った。リュウグウA室サンプル(1回目タッチダウン)とC室サンプル(2回目タッチダウン)に含まれる炭酸塩鉱物それぞれについてMn-Cr鉱物アイソクロンを取得し,両サンプル(A・C)の初生53Mn/55Mn比を,誤差約3 x 10^-7の高精度で決定することができた。その結果,両サンプル中の炭酸塩鉱物の間には,約200万年の形成年代差があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以上の通り,分析法の改良を完了し,実サンプルの測定まで行えたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本分析手法を用いて,炭素質コンドライト(Ivunaなど)の炭酸塩鉱物のMn-Cr同位体分析を行う。微小領域高精度分析の特徴を活かして,これまでにほとんど行われていない,単一鉱物粒子内および鉱物間における年代差に着目した年代測定を行っていく。
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Causes of Carryover |
消耗品の購入を次年度に回したため。また,学会参加回数が想定より少なかったため。
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