2022 Fiscal Year Research-status Report
Could the middle atmosphere change ocean circulations?
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22K18743
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
河谷 芳雄 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), 主任研究員 (00392960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 峻佑 九州大学, 理学研究院, 助教 (90836313)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 中層大気 / 海洋循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
中層大気が対流圏下層に及ぼすプロセスが、更に海洋に影響を及ぼすのか、を調べるために、東京大学、国立環境研究所、海洋研究開発機構で共同開発された最新版の大気海洋結合モデルMIROC6を用いた実験を行う環境を整備した。海洋及び対流圏の空間解像度や物理過程の設定は全て同じにし、大気モデル上端高度のみを30km及び85kmに変えたモデルを構築し、初期実験を開始した。まずは上端85kmにしたモデルに置いて、既存の設定で使われている、レイリー摩擦について、東西平均成分にはかけず、擾乱成分にだけ掛けるように変更した。また水平拡散を強めるのはモデル上端のみに設定した。次に30kmモデルについても同様な設定を行った。これにより、両者のモデルの比較を行えるようになる。今年度は30年分の積分をそれぞれ行い、モデルの挙動を確かめ、次年度の本格実験に備えた準備を行った。 直近に生起した成層圏の極端変動イベントに対して、中層大気変動をナッジング手法によって拘束したアンサンブル予測実験を、大気海洋結合設定のモデルを用いて行い、その結果の解析も進めた。冬季のイベント後から晩春までの期間において、成層圏と同極性の環状モード偏差が対流圏・地表において卓越し、気候学的標準偏差以上の規模の風応力偏差が高緯度の洋上で生じることを確認した。これに対応し、海洋亜表層に有意な流量および温度の偏差が生じることも確認できたが、それらがより深部の偏差出現に繋がるか否かに関しては更なる分析を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に見越していた気候モデルの構築、実験はほぼ予定通りに行うことができた。また海洋が中層大気へ与える影響について、既存実験の解析を行い、異なる海洋状態で、中層大気の波動伝播・作用が異なることが確認でき、今後の研究に応用できることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した手順で、引き続き研究を進めていく。特に気候モデルの本格的な実験を開始し、データ解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
今年度は、予備的な数値実験を行い、モデルの構築を行ったため、大量のデータを出力する必要がなく、大容量raidを購入する必要がなかった為。来年度以降、本格実験データが揃い始めるときに、解析に必要なハードディスクなどの整備を進め、必要な物品費を計上していく。
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