2022 Fiscal Year Research-status Report
円錐交差構造と機械学習を用いた無輻射失活経路予測に基づく蛍光分子骨格の理論設計
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22K19002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原渕 祐 北海道大学, 理学研究院, 助教 (60727204)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 量子化学計算 / 分子設計 / 無輻射失活経路 / 分子蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、円錐交差探索に基づく反応機構解析とデータ収集、機械学習手法の導入、3次元分子構造生成プログラムの整備において進捗があった。 円錐交差探索計算の応用としては、以前の研究で発表した時間依存密度汎関数理論(TDDFT)に基づく円錐交差探索法であるエネルギーシフト/勾配射影/TDDFT/single component-artificial force induced reaction (ES/TDDFT/GP/SC-AFIR)法を用い、近年注目されている分子骨格の円錐交差構造を探索し、光励起後の分子の無輻射失活機構を議論した。さらに、実験グループと協力し、実験的に得られた結果に対する説明を与えた。これらの成果は、投稿準備段階である。 研究代表者は、以前の取り組みで、機械学習ライブラリと分子記述子を用いた機械学習により、円錐交差エネルギーの定性的評価が可能であることを確認した。一方で、データ量の増加に伴い、訓練に要する演算コストが問題となってきた。そこで、2022年度には、GPUを用いて高速に訓練可能な方法を研究に導入し、効率化を図った。今後、予測精度についても検討していく。 また、分子骨格のスクリーニングに向けて、単純な入力で分子の3次元構造を生成し、分子構造の最適化、無輻射失活経路の探索を適用するプログラムの整備を進めた。2022年度までに、ある特定の骨格を入力として分子の置換構造を系統的に得る方法に加え、異なる分子骨格を生成する方法を導入し、得られた構造に対する量子化学計算の適用が可能になった。さらに、Unixにおけるテキストベースの計算結果に対して、科学者が容易に計算結果を解析できる可視化システムの開発に着手した。実際の分子設計では、実験研究者との情報の共有が必要不可欠であるため、今後も開発を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、「無輻射失活経路探索と機械学習に基づく分子光物性の予測」と「化学情報学に基づく新規分子骨格の生成」の2つの手法を導入し、新規分子骨格スクリーニングを行うことを目的として研究を進めている。この目標に向けて、円錐交差探索に基づく反応機構解析とデータ収集、機械学習手法の導入、3次元分子構造生成プログラムの整備における進捗があり、新たな分子に対して理論スクリーニングを行うことが可能になりつつある。そのため、十分な進捗があると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、分子骨格の理論提案を目的とした計算に基づく研究を想定しており、研究代表者のみで研究を実施する計画を立てていた。しかし、研究遂行上、理論予測した分子に対する実証実験が必要であると判断した。研究代表者は、量子化学を専門としており、自身で有機合成実験を行うことは出来ないため、有機合成化学と光電子移動触媒を用いたラジカル反応の専門家を研究分担者として加え、実証実験を実施することとした。これと同時に、実際に応用が期待される分子の光物性や光反応性へと研究の対象を広げ、無輻射失活経路探索に基づく分子設計へと展開することとした。一般に、量子化学計算に基づく分子予測の研究では、理論予測の正当性を評価するのは容易ではないが、実証実験を通じて分子を評価することで、本研究課題が目標とする分子の理論スクリーニング技術の実用が可能になると期待される。
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Causes of Carryover |
当初大規模なデータ収集を目的として、外部計算機センターの利用を計画していたが、研究の進捗に伴い必要となった機械学習用GPUを搭載した計算機を購入することとした。
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Research Products
(2 results)