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2023 Fiscal Year Research-status Report

気候変動時代の病害防除を見据えた植物病原細菌研究のパラダイムシフトへの挑戦

Research Project

Project/Area Number 22K19178
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

峯 彰  京都大学, 農学研究科, 准教授 (80793819)

Project Period (FY) 2022-06-30 – 2025-03-31
Keywords高湿度 / 細菌 / 病原性
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、植物病原細菌Pseudomonas syringaeが高湿度環境で発揮するエフェクターに依存しない病原性発現機構の解明を目的としている。そのために、(研究項目1)植物体内増殖を病原性の指標として、その程度が高湿度環境下で変化するP. syringae変異体をスクリーニングし、(研究項目2)その原因遺伝子によって制御される生理機能を明らかにすることを目指した。研究項目1については昨年度に完了したため、本年度は研究項目2に取り組んだ。
まず、昨年度に同定した変異体のうち、代謝経路に関わる遺伝子に変異を持つものに着目して研究を進めた。核酸代謝に関わる遺伝子は感染植物および冨栄養培地における増殖に必要である一方で、アミノ酸生合成に関わる遺伝子は感染植物における増殖には極めて重要であるが、冨栄養培地における増殖には必要ではないことを明らかにした。また、昨年度に同定したレスポンスレギュレーターとそれとともに二成分制御系を構成すると考えられるセンサーキナーゼの機能解析を進めた。RNA-seq解析から、このレスポンスレギュレーターとセンサーキナーゼは同一経路で働くことが強く示唆された。また、この二成分制御系は高湿度によって転写レベルで活性化されることを見出した。さらに、感染植物における細菌のRNA-seq解析から、高湿度環境によって活性化されたこの二成分制御系はエフェクター遺伝子の発現を抑制する一方、アミノ酸の生合成や吸収に関わる遺伝子の発現を高めることを突き止めた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度は、スクリーニングで同定した遺伝子の機能解析を進めることを目的としていた。種々の代謝経路に関与する遺伝子の解析から、アミノ酸生合成遺伝子が高湿度における植物感染に重要であることを突き止められた。さらに、スクリーニングで同定したレスポンスレギュレーターの解析を起点に、高湿度によって転写レベルで活性化され、エフェクターによる免疫抑制から栄養獲得へと遺伝子発現を切り替えることで細菌増殖を促進する二成分制御系の発見につながった。これらの研究成果は、高湿度におけるエフェクターに依存しない病原性発現機構の一端を明らかにするものであると考える。以上より、本研究は順調に進んでいると評価する。

Strategy for Future Research Activity

スクリーニングで同定した遺伝子の更なる機能解析を進める。特に、昨年度は手が回らなかったが、細菌増殖への寄与度が大きいことがわかっている遺伝子に焦点を当てて研究を進める。これらは機能未知遺伝子であることから、関与する生理機能を明らかにするために、RNA-seqを用いた変異体と親株の比較トランスクリプトーム解析を行う。具体的には、種々の培地における培養時や高湿度環境下での植物感染時において発現パターンに違いが見られる遺伝子群のGO解析等により、制御下にある生理機能を推定する。さらに、その推定機能に関する生理・生化学的性状解析を通じて、高湿度環境下における病原性発現の仕組みに迫る。

Causes of Carryover

スクリーニングを通じて取得できた変異体が想定よりも多かったため、機能解析の優先順位を決める必要があった。今年度中には解析が完了しなかった変異体が複数あるため、生じた残額は、次年度に研究対象とする変異体のトランスクリプトーム解析や分子遺伝学・生化学的な解析に使用する予定である。

  • Research Products

    (8 results)

All 2024 Other

All Int'l Joint Research (2 results) Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results) Presentation (4 results)

  • [Int'l Joint Research] 華中農業大学(中国)

    • Country Name
      CHINA
    • Counterpart Institution
      華中農業大学
  • [Int'l Joint Research] マックスプランク植物育種学研究所(ドイツ)

    • Country Name
      GERMANY
    • Counterpart Institution
      マックスプランク植物育種学研究所
  • [Journal Article] Sugar coordinates plant defense signaling2024

    • Author(s)
      Yamada Kohji、Mine Akira
    • Journal Title

      Science Advances

      Volume: 10 Pages: -

    • DOI

      10.1126/sciadv.adk4131

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Commensal lifestyle regulated by a negative feedback loop between Arabidopsis ROS and the bacterial T2SS2024

    • Author(s)
      Entila Frederickson、Han Xiaowei、Mine Akira、Schulze-Lefert Paul、Tsuda Kenichi
    • Journal Title

      Nature Communications

      Volume: 15 Pages: -

    • DOI

      10.1038/s41467-024-44724-2

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 二成分制御系CbrABは高湿度環境下においてエフェクター分泌から栄養獲得へと遺伝子発現を転換しトマト斑葉細菌病菌の増殖を促進する2024

    • Author(s)
      石川真太郎、三瀬和之、高野義孝、峯彰
    • Organizer
      令和6年度日本植物病理学会大会
  • [Presentation] 高湿度による植物免疫の抑制におけるTrihelix 転写因子の役割2024

    • Author(s)
      坂田悠夏、三瀬和之、高野義孝、峯彰
    • Organizer
      令和6年度日本植物病理学会大会
  • [Presentation] 高湿度による植物免疫の抑制におけるTrihelix 転写因子の役割2024

    • Author(s)
      坂田悠夏、三瀬和之、高野義孝、峯彰
    • Organizer
      第65回日本植物生理学会年会
  • [Presentation] 糖シグナルを介した新規防御因子の同定2024

    • Author(s)
      山田(山下)美鈴、峯彰、山田晃嗣
    • Organizer
      第65回日本植物生理学会年会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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