2023 Fiscal Year Research-status Report
アルボウイルスの特殊なゲノムRNA構造の解析と媒介性の規定要因としての検証
Project/Area Number |
22K19185
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
大手 学 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20386717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嘉糠 洋陸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50342770)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | アルボウイルス / ヤブカ / RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
RNAウイルスはゲノムRNA内でのbase-pairingによって複雑な二次構造を形成し、様々な宿主・ウイルスタンパク質と相互作用することにより増殖する。我々は、昆虫媒介性ウイルスのRNAに、典型的な二次構造ではない特殊な高次構造が形成されることを発見した。本研究では、この高次構造について、その働きと、形成メカニズムの解明を行った。まず、その働きを明らかにするため、デングウイルスが感染したヤブカ培養細胞に高次構造形成原子が修飾された塩基を取り込ませることにより、特殊な高次構造を形成できないウイルスRNAを作成した。このウイルスの複製は減弱したことから、この構造はウイルスが効率よく複製するために形成している可能性が示された。また、その形成メカニズムを明らかにするため、ショウジョウバエ培養細胞と、自己複製能のない組み換え昆虫ウイルスを用いた実験系を確立した。このウイルスゲノムにて特殊な高次構造が形成されると推測される部位に変異を導入した。ウイルス複製を阻害しない部位について解析を行ったところ、特殊な高次構造は複数分子のRNAの相互作用により形成される可能性と、複数の箇所が形成に関与している可能性が示された。また、生化学的解析を行うため、特殊な高次構造に結合する一本鎖抗体と利用してウイルスRNAを免疫沈降する手法を開発した。その他、不安定な特殊な高次構造の固定にはメタノールとホルマリンを用いた方法が有効であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウイルスに誘導される特殊な高次構造について、その働きと形成メカニズムに関する新たな知見が得られた。また、分子レベルでの解析のための手法を複数開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した新たな手法を用い、固定した特殊な高次構造を形成するRNAを単離して、構造の形成に関与するタンパク質、RNAの網羅的な同定を行う。
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Causes of Carryover |
RNAの構造が複数分子から形成されるという、これまでの知見からは予想し難い現象であることが判明したため、新たな解析を行う必要が生じた。
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