2022 Fiscal Year Research-status Report
病原体を媒介しない蚊バイオリソース構築による犬糸状虫症制御基盤の創出
Project/Area Number |
22K19235
|
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
福本 晋也 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (50376422)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 犬糸状虫 / ヤブカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では日本に生息する様々な種のベクター蚊から、犬糸状虫を媒介しない蚊を遺伝学的に分離する。これらの蚊コロニー群を用いて「フィラリア非媒介蚊バイオリソース」を構築し病原体を媒介しない蚊による犬糸状虫症の制御に向けた学術基盤を創出することを目指す。 初年度においては、ヤブカとしてヒトスジシマカ、イエカとしてネッタイイエカを主要なターゲットとしてラボコロニーを樹立するため、フィールドでの蚊のサンプリングを行った。犬糸状虫が多く分布する名護市近郊を主要なサンプリング地として設定した。名護市でボウフラのサンプリングを行い、32地点にてボウフラのサンプリングに成功した。実験室内にて成虫まで飼育し、顕微形態学的・分子生物学的に種の同定を行った。その結果、22地点にてヤブカが採集され、22地点分ともヒトスジシマカであることが確認された。またネッタイイエカについては5地点から採集に成功した。 フィールドから得られた蚊は実験室飼育に順化する必要がある。そこでネッタイイエカ2コロニー、ヒトスジシマカ2コロニーの順化を目指した。その結果ヒトスジシマカについては継代維持に成功し安定的に5-10代の継代が可能な株を2株得る事ができた。 一方、ネッタイイエカについては継代中に繁殖成績が落ち込み、継代維持が困難となり途絶えた。 ヒトスジシマカコロニーについては安定化の目処がついたため、感染実験を開始し、現在遺伝学的セレクションを開始している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヤブカ系統のラボコロニー化に成功したものの、イエカ系統についてラボコロニー化に失敗した。蚊(ボウフラ)のサンプリングは季節縛りがあり蚊が多い夏季に行う必要がある。イエカについては次年度再度サンプリングを行う予定であるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヤブカ系統については犬糸状虫に対する感染表現型をもとに遺伝学的セレクションを行い、感受性系統・抵抗性系統を樹立する。イエカについては再度サンプリングを行い、確実にラボコロニー化することを目指す。
|
Causes of Carryover |
イエカについてフィールド由来株のコロニーを樹立することができなかったために、イエカの解析に関連する費用等が支出されなかったため。フィールド調査費用およびヤブカの解析費用等に使用する予定である。
|