2022 Fiscal Year Research-status Report
二次代謝産物の理解からひろがる植物を中心とした種間相互作用
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22K19350
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
角田 智詞 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (30747936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 ゆず 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (50779759)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 植物-微生物-昆虫相互作用 / からし油配糖体 / 誘導防御応答 / 根の防御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多様な生物に植物が対処する鍵となる二次代謝産物の動態と役割を明らかにすることである。二次代謝産物は、ストレスに晒されても移動して逃げられない植物ならではの生きる術として機能する。例えば、病害虫へ抵抗性を示したり、共生者を誘引したりする。多面的に機能しうる二次代謝産物の動態と役割を理解することが、生態系の一次生産者である植物が関わる様々なプロセスの理解につながる。本研究では、知見が多いアブラナ科の二次代謝産物、グルコシノレート(glucosinolate; からし油配糖体)を対象とした。 材料とするからし油配糖体の生産性が異なるシロイヌナズナ変異体を海外の共同研究者から入手するのに時間がかかってしまったため、その間に栽培実験環境と分析環境が機能するか確かめる実験を行った。栽培実験は、糸状菌Trichoderma harzianum T-22接種の有無と、主根への昆虫Anomala cupreaの食害の有無、細根へのA. cupreaの食害の有無を三要因として、ブロッコリーBrassica oleraceaを栽培した。一定期間栽培したのちに刈り取り、植物の収量や、植物の各器官のからし油配糖体の組成と濃度、A. cupreaの生重量の変化を定量した。 A. cupreaに食害されたのちにからし油配糖体の濃度が上昇する誘導防御応答は、主根を食害された時のみ見られた。この結果は、植物の各器官の中で最も防御価値の高い器官がよく防御されるという最適防御理論と矛盾せず、自身の先行研究 (Tsunoda et al. 2018. Funct. Ecol., 32, 2127-2137)と同様だった。ただし、この濃度上昇は、Trichodermaの接種がある場合と、細根への食害がある場合に限られた。他の生物との相互作用の有無により、植物の防御応答が変化することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
材料とするシロイヌナズナ変異体の入手に時間がかかり、令和4年度内の栽培実験開始に至らなかった。しかし、令和5年度初頭に変異体の種子を入手でき、それを繁殖させることにより、実験に十分な数の材料を準備できる予定である。また、栽培実験に必要な環境や二次代謝産物の分析環境は、整えることができた。このため、植物材料が準備出来次第、速やかに当初計画した課題を遂行できる。
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Strategy for Future Research Activity |
植物材料を準備でき次第、申請書に記載した課題1の栽培実験を行い、得られた生物サンプルについて各種分析を行う。また、令和4年度に行った実験内容の原稿がまとまりつつあるので、国際学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
電気代高騰に対処するため、所属部署において新たな栽培装置の購入が制限されたため、当初購入を計画していた植物栽培用のインキュベーターの購入を取りやめたので、次年度使用額が生じた。ただし、研究遂行に必要な栽培環境は、既存の栽培室で十分に対処できるため、課題遂行の制約とはならない。実験消耗品の購入に使用する。
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Research Products
(4 results)