2023 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS/ES細胞を用いたゲノム脆弱性変異リスクのpseudo-score化
Project/Area Number |
22K19409
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
福田 篤 東海大学, 医学部, 講師 (00638091)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
Keywords | 幹細胞生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の結果より、特定の女性多能性幹細胞においてX染色体エピゲノム脆弱性が強く示されてきた。本年度では、その原因探査を実施した。X染色体不活化状態は、lnc RNA XIST遺伝子の発現状態に依存することから、定量解析、分布解析を実施した。興味深いことに、X染色体エピゲノム脆弱性が顕著な株では、特徴あるXIST RNAの分布を示すことが明らかとなった。さらに、特定の転写因子が強く発現する細胞集団を形成することが分かった。これらの結果から、XIST RNAの分布状態および、特定の転写因子の発現状態からX染色体エピゲノム脆弱性を評価する可能性が示唆された。さらに、X染色体遺伝子群の発現状態に着眼したModule score解析を実施することで、エピゲノム脆弱性を簡易的に評価可能なシングルセル解析コードを開発し、scalableな解析に備えた体制が確立できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲノム変異は、エピゲノム状態と相関があることから、エピゲノム状態を転写の観点から評価できるシステムの確立は、間接的ではあるが、簡易的に細胞integrityを評価できる利点がある。現状では、最も課題であったscRNAデータから、X染色体エピゲノム状態を評価可能なコードを開発出来た。今後のscalableな解析データ蓄積においても、汎用性が高いと期待出来る。
|
Strategy for Future Research Activity |
XIST RNAの分布状態がエピゲノム状態の脆弱性を評価できる可能性が示唆されている。これらの結果から、scRNAを介さず、簡易的にエピゲノム脆弱性を評価出来るかどうかを検証する。特に、多くのiPS細胞株を使用することで、その特性を評価する。女性細胞に限定されるものの、今後はExomeデータとの相関解析を進めることで、堅牢なデータ評価系の確立を目指す。
|
Causes of Carryover |
解析予定であったscRNAデータ取得において、他のプロジェクトで取得済のデータを再利用することで試薬等の消耗品費を削減することが出来たため。 また、取得済データに基づいて計画通り研究を進めるために残金を使用し、また2024年度の計画通り研究を遂行することで2024年度予算を執行する。
|