Outline of Annual Research Achievements |
愛媛県内の環境水から単離培養した369株使用して模擬人工群集を作成した。模擬人工群集を、2種類の孔径のセルロース濾紙を用いて連続濾過を行うことで,種構造が異なる5種類の標本群集を作成した.これらの5種類の標本群集から抽出したDNAを等量で混合することで計31通りの標本群集を作成した.次に16S rRNAの配列コピー数と耐性遺伝子(tetG,tetM,strA,strB,floR,sul1,sull2,aadA2)の8つをターゲットとし,各標本群集全体の耐性遺伝子保有率を定量した.また31標本群集のメタバーコーティング解析を行い,各標本群集の群集中のそれぞれの種について相対的個体数を定量した.最後に定量PCRで定量した8つの耐性遺伝子保有率とメタバーコーティング解析から得られるそれぞれの種の相対個体数のデータを用いて,31通りの標本群集に対して,相対個体数と耐性遺伝子保有率の相関分析を行った.理論上,耐性遺伝子を高い割合で保有する種の相対個体数が高い標本群集では群集全体の耐性遺伝子保有率が高まり,逆に総体個体数が低い標本群集では群集全体の耐性遺伝子保有率が低下することが期待される。この相関分析をそれぞれの種×8耐性遺伝子回行い,水環境中の細菌群集の「どの種」が,「どの耐性遺伝子」を,「どの程度の割合」で保有するかを推定した。推定した結果、8つの耐性遺伝子のうち、sul1,sul2,floR,strA,strBは推定がほとんど成功していなかったが, aada2,tetM,tetGは比較的推定が成功していた.この原因として、tetM,tetGは耐性遺伝子の保有する株が模擬人工群集の中で少なかったため,その株が相関分析に与える影響が大きく,比較的高い推定率を得ることできた可能性が考えられる.
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