2022 Fiscal Year Research-status Report
M&Aにおける人事部門の役割の境界条件, および人事部門が従業員に及ぼす影響の探索
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22K20173
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Research Institution | Matsumoto University |
Principal Investigator |
三浦 友里恵 松本大学, 総合経営学部, 専任講師 (10966633)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 人的資源管理 / 人事部門 / M&A / 合併・買収 / 被買収側 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、M&Aにおいて重要な役割を果たすことが示唆されている人事部門に注目し、買収側だけでなく被買収側の人事部門がM&Aに貢献し得る条件を解明することが目的である。主な研究テーマは2つあり、1つ目は「買収側と被買収側の人事部門が担う役割の境界条件の探索」である。2つ目は「M&A前後の人事管理や人事部門の役割の変化が従業員の態度・行動に及ぼす影響の検討」である。 1つ目の研究テーマでは、複数のM&A事例を対象としたインタビュー調査に基づき、比較研究を行なうことを想定している。現在は、調査対象候補となる企業のM&Aについて公開されている情報や本研究費内定前に実施したインタビュー内容の整理を行なっている段階である。対象企業では短期間に多数のM&Aを実施しているため、どの事例を対象とすることが本研究においてより妥当であるか検討を進めている。研究計画と照らし合わせると、当初は2022年度中にインタビュー調査を実施する予定であったがまだ実施に至っていないため、大幅に遅れている状況である。 2つ目の研究テーマでは、M&A経験者を対象としたウェブ調査を行ない、M&A前後の人事管理や人事部門の役割、そのアウトカムとしての個人の態度・行動を調査する想定である。1つ目の研究テーマの遅延に伴い、2つ目のテーマは未着手の状況であるため、同様に大幅に遅れている状況である。 今後は、2023年度上期に引き続き対象事例の検討や文献調査を進め、対象企業と調整の上、下期のなるべく早い時期にインタビュー調査を実施する想定である。対象企業との調整次第でインタビュー実施時期がさらに遅延する可能性がある場合には、インタビュー実施後に着手する予定であったウェブ調査の設計を進め、インタビュー調査とウェブ調査を並行して推進することも視野に入れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は主に2つの研究テーマで構成されており、1つ目の研究テーマである「買収側と被買収側の人事部門が担う役割の境界条件の探索」は着手しているものの想定より遅延し、2つ目のテーマである「M&A前後の人事管理や人事部門の役割の変化が従業員の態度・行動に及ぼす影響の検討」は未着手であるため、大幅に遅延している状況である。1つ目の研究テーマについて、当初は2022年度中に買収側と被買収側の人事担当者、ラインマネジャーなどにインタビューを行なう想定であったが、現在もその前段階である対象事例の選定を行なっている段階であるため、インタビューの実施に至っていない。2つ目の研究テーマは、1つ目の研究テーマの遅延に付随して未着手の状況である。これらの大幅な遅延の主な要因は、研究代表者が本研究を開始した2022年度に大学における教育活動を同時にスタートし、エフォートの大部分を教育活動に配分したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2つある研究テーマのうち1つ目の研究テーマである「買収側と被買収側の人事部門が担う役割の境界条件の探索」に先行して取り組み、その進捗に応じて、2つ目の研究テーマである「M&A前後の人事管理や人事部門の役割の変化が従業員の態度・行動に及ぼす影響の検討」の取り組み時期を調整する予定である。具体的には、1つ目のテーマについて、2023年度上期中に対象事例の選定と文献調査を進め、対象企業と調整の上、下期のなるべく早い時期にインタビュー調査を実施する想定である。1つ目のテーマが想定通りに進捗し、2023年度中にインタビュー調査を完了した場合には、2024年度に2つ目のテーマに関するウェブ調査を進めていく。対象企業との調整次第でインタビュー調査の時期が遅延する可能性がある場合には、インタビュー調査の完了を待たずに2つ目のテーマに関するウェブ調査の設計を2023年度下期中に開始することも視野に入れている。よって、補助事業期間の1年延長を申請し、2024年度までに本研究を推進する想定である。 本研究が遅延している主な要因は、研究代表者が2022年度におけるエフォートの大部分を教育活動に配分したことにあると先に述べた。この点について、2023年度も前年度とほぼ同様の教育活動を行なう予定であり、これまで教育活動に費やしたエフォートの大部分を占めていた教育資料の準備が前年度にある程度整えられたため、2023年度は本研究へのエフォートを大幅に増やすことができると想定している。
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Causes of Carryover |
本研究では、2022年度に計上した予算のうち、主に国内旅費と人件費・謝金に該当するインタビュー調査費用が大半を占めており、2022年度にはインタビュー調査を実施できていないため、大幅な次年度使用額が生じた。また、現在進行中の調査対象候補となる企業情報の調査などでは費用が発生しておらず、2022年度に使用額が発生していない。 今後の研究の推進方策として、補助事業期間の1年延長を申請し、2023年度から2024年度までに本研究を推進する想定である。これに伴い、当初2022年度に計上していた助成金を2023年度へ、2023年の助成金を2024年度へ繰り越して使用することを計画している。大まかには、2023年度の助成金は、1つ目の研究テーマである「買収側と被買収側の人事部門が担う役割の境界条件の探索」に関するインタビュー調査関連の費用として使用予定である。また、2024年度の助成金は、2つ目の研究テーマである「M&A前後の人事管理や人事部門の役割の変化が従業員の態度・行動に及ぼす影響の検討」に関するウェブ調査関連の費用として使用予定である。
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