2022 Fiscal Year Research-status Report
公設型学習塾をめぐる日本型公教育の再編課題の検討―学校と学習塾の関係に着目して―
Project/Area Number |
22K20218
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
高嶋 真之 藤女子大学, 人間生活学部, 講師 (90962944)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 公設塾学習塾 / 学習塾 / 公教育 / 教育機会保障 / 教育ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、戦後日本の学校を中心とする公教育の仕組みである「日本型公教育」に変容が生じており、公教育の構造の問い直しと再編に関する課題の検討が活発に進められている。本研究では、個人や民間ではなく自治体が設置した学習塾である「公設型学習塾」を対象に、学校と学習塾の関係に焦点を当てて、事例研究によって日本型公教育の変容の動態と再編課題を検討し、新たな公教育の形態を探究することを目的とする。この研究目的を達成するため、①学校と学習塾の関係に関する理論枠組みの構築、②学校と学習塾の関係変容の動態に関する事例分析、③公設型学習塾をめぐる日本型公教育の再編課題の検討の3つの研究課題を遂行する。 2022年度の主な研究の成果は次の2点である。1つ目は、事例研究に関する論文執筆と学会発表である。本研究で対象としている公設塾について、特に北海道の動向を地方公立高校の存続と関連させて検討し、その成果が雑誌論考として刊行された。また、事例の一つに挙げている北海道白糠町「久遠塾」の実践について詳しく分析・検討したものを学会や研究会で発表し、論文化や総合考察に向けた助言を受けた。2つ目は、事例研究に関する調査と状況整理である。同じく事例の一つに挙げている北海道鹿追町「鹿追町オンライン公設塾」の実践について調査や観察を行い、論文執筆や学会発表に向けた準備を進めた。これに関連して、学校と学習塾の関係について検討を深めるため、北海道鹿追高等学校の実践について調査や観察を同時並行で行い、その成果を論文として公開した。 以上の内容は、人口減少や過疎化といった現代社会の転換と密接に関連した公教育の新たな動向であり、その実態を把握・検討することは、今後の社会や公教育のあり方を考える上でも重要と言える。引き続き、現地に訪問しながら公設塾・学校・地域などの実態に即した研究の成果を積み重ねていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度中に本研究課題に関連する論文などを2本公表し、学会や研究会での発表を3回行った。また、事例の調査や観察についても十分に行うことができている。2022年度の進捗を活かしながらさらなる研究成果の公表につなげられる状況にあるため、「(2)おおむね順調に進展している」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2022年度までに行った事例の調査・観察や学会など発表を基に、①学校と学習塾の関係に関する理論枠組みの構築、②学校と学習塾の関係変容の動態に関する事例分析、③公設型学習塾をめぐる日本型公教育の再編課題の検討の3つの研究課題に関する論文を執筆して研究成果の公表を進める。
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