2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒト臨床応用に向けたネフロンと腎間質も含めた腎臓再生法の確立
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22K20898
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
齊藤 弥積 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10966451)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 腎臓再生 / 胎生臓器補完法 / 腎間質 / 前駆細胞 / キメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はヒトの腎前駆細胞を動物胎仔の腎臓(後腎)に移植し再生腎芽を作成し、動物の腎発生機構を移植した腎前駆細胞に働かせることで新規に腎臓を再生する胎生臓器補完法による腎再生法の臨床応用を目指している。動物胎仔の腎前駆細胞を除去し外来の前駆細胞と置換することで尿産生能を持つネフロンの再生に成功した。しかし、EPOやレニンなどの腎内分泌能を有する腎間質領域の再生が可能かは今まで不明確であったが、マウスの間質前駆細胞を別マウスの後腎に移植し、胎仔の腎発生機構により同種間で外来の腎間質前駆細胞が腎間質に分化できることを報告した。したがって、本研究では腎間質を含めた腎臓再生を行うため、ネフロン再生に成功した前駆細胞置換をネフロン前駆細胞と腎間質前駆細胞の両者に応用することで、ネフロンと腎間質の同時再生が可能かを検証することを目的とした。まず、ネフロンと腎間質前駆細胞を同時に除去できる遺伝子改変マウス(Six2/Foxd1-DTAマ ウス)の作成を試みた。Six2/Foxd1CreERT2マウスとLoxp-DTAマウスを交配し、その胎生13.5日齢の胎仔を得た。本胎仔の中にSix2/Foxd1-DTAマウス胎児が存在することを確認するためジェノタイピングを行った。さらにこの胎仔の後腎を採取し、タモキシフェンを付加した培養液を用いて器官培養を行い、ネフロン前駆細胞と間質前駆細胞に特異的な転写因子であるSix2とFoxd1に対する蛍光免疫染色を行った。その結果、胎仔の中にSix2/Foxd1-DTAマウスのジェノタイプ陽性のマウスを認め、蛍光免疫染色でSix2陽性ネフロン前駆細胞とFoxd1陽性間質前駆細胞の除去を確認できた。しかしながら、現時点では外部よりネフロン前駆細胞と腎間質前駆細胞の注入実験はできておらず、更なる検証が必要と考えられ、現在検証を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の診療により時間が割かれ、研究時間の捻出に苦慮した。 現在は順調に研究できている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、前駆細胞の除去の確認は可能であったため、今後はネフロン前駆細胞と間質前駆細胞の注入を行い、この再生腎芽をホスト動物に移植して、in vivoで再生したネフロンや腎間質を持つキメラ腎臓の再生を試みる。
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Causes of Carryover |
COVID19診療に大幅に時間が割かれたため研究時間の捻出に苦慮した。 現在は順調に研究できているため次年度使用額も順次使用していく。
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