2022 Fiscal Year Research-status Report
von Willebrand factor D and EGF domain の歯の発生段階における役割解明
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22K21008
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岩田 こころ 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 医員 (30963962)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | エナメル芽細胞 / 歯の発生 / 細胞-細胞間シグナル / 細胞-細胞外シグナル / 歯の亀裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれは、人体の骨格となる骨を含む硬組織が間葉細胞由来であるのに対し、人体で最も硬い組織である歯のエナメル質は上皮細胞から形成されるというユニークな特徴に着目した。エナメル芽細胞の分化・成熟過程を解明することは歯の発生分子機構の理解だけではなく、生物学的意義も高いと考えられる。以前にわれわれはVwdeがエナメル芽細胞の分化とエナメル質形成に重要であり、その過程においてNcadherinの制御に関与していることを明らかにした。このことから細胞接着や極性に関わることが示唆された。そこで、さらなる分子機構を明らかにするために歯原性上皮細胞M3H1にVwdeを過剰発現させた細胞におけるRNAseqを行い、Vwdeの発現により動く分子の網羅的検索を行ったところ、細胞-細胞間、細胞-細胞外環境間に関与する分子を多く変動させることがわかった。これらの分子との相互作用について解析し、歯原性上皮細胞からエナメル細胞へと分化する間の細胞極性の変化やシグナルの切り替えなどに重要な役割があることが示唆された。さらに、von Willebrand factor (vWF) を有するタンパク質ドメインはサブタイプが存在する。血液凝固に関するドメインとしてはAドメインが大きく関与しているが、vWA含有タンパク質は多くの生物学的事象(例えば、細胞接着、移動、ホーミング、パターン形成、シグナル伝達など)に関与していることが知られており、歯の発生においても発現していることが報告されているが、Cドメインについては文献が少ない。今回Vwdeの遺伝子欠損マウスにおいての表現型は比較的マイルドであり、Dドメイン以外の分子が代償的に働いた可能性がある。そこでまだ文献の少ないvWC含有タンパクについて歯の発生段階での発現解析を行なっている。最終年度は本年度までに得られた知見をもとにさらに研究を発展させていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Vwdeの解析について、当初予定していた受容体の探索と上流分子の探索についてはリコンビナント蛋白の精製にやや遅れをとっているが、下流分子および相互作用する分子について多く同定できたことから、細胞-細胞間および細胞-細胞外環境の解析が進んでいる。また、次年度の器官培養のための準備を進めているため、総じておおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度ではこの1年で得られた知見をより発展させていく。特に他の遺伝子との相互作用には注目していきたい。また、当初予定していたTA細胞に発現する遺伝子との関連や幹細胞の細胞行動への影響も検討していきたい。さらに、初代培養、器官培養および機能解析を行うことで歯の発生段階での異常とその病態のメカニズムについてさらに理解が進むことが期待できる。また、本研究において得られた結果の論文発表も予定する。
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Causes of Carryover |
次年度において、マウスの作成や、新たな器官培養の準備に予算が必要であり、成果発表のため国際学会参加も予定しているため当該年度の経費を翌年度分として使用したい。
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