2022 Fiscal Year Research-status Report
心の状態計測を目指した日常生活下での脳信号源の位置計測に関する研究
Project/Area Number |
22K21222
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
坂上 友介 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構(BKC), 助教 (80772368)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 脳波 / 脳活動 / イメージング / 鳳-テブナンの定理 / ウェアラブルシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,脳の活動位置である脳信号源の位置から,日常生活下で心の状態を客観的に評価することを目指して,脳波を用いた脳信号源の位置計測を実現することである.目的達成のため,申請者が先行研究で開発した分圧抵抗スイッチング電極による生体内電気信号の信号源位置推定技術を適用する.この方法では生体を電圧源と生体インピーダンスから成る等価回路でモデル化と考える.そして,信号電極とグラウンド電極の間に分圧抵抗とその接続状態を切り換えるスイッチを配置し,スイッチのON/OFFを切り換えることで,信号源の電圧と,信号源-電極間の距離に依存する生体インピーダンスを同時に計測する.これら2つの情報を用いて信号源位置を推定できる. 本研究に適用するには,スイッチの切り換えで生じるスパイクノイズを低減させ,脳信号源が同じ位置にあると考えられる短時間での超高速切り換え方法,もしくはスパイクノイズの低減が難しい場合に分圧抵抗の切り換えに相当する別の方法が必要となる.そこで研究1年目には,分圧抵抗の最適な切り換え方法,並びに分圧抵抗をコンデンサとする新しい計測手法を検討した.その結果,先行研究から3.2倍の高速切り換えである2.0msecを達成した.これまでは事象関連脳電位のように繰り返し性のある脳活動のみに適用可能であった本手法を,心の状態のように繰り返し性のない脳活動への適用を可能とした.また,コンデンサを用いることで,生体インピーダンスとの高域遮断フィルタを形成し,先行研究では活用できていない信号源の周波数特性を活用した新しい計測手法を実現した. 本研究では研究2年目に,日常生活下での脳信号源の位置計測を行うため,ウェアラブル型の計測システムを開発するが,当初の予定通りシステム開発に着手した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では,研究1年目に分圧抵抗の最適な切り換え方法の確立,fMRIで計測した脳活動位置と,分圧抵抗スイッチング電極で計測した脳信号源位置を比較することによる妥当性の検証,ウェアラブル型脳信号源の位置計測システムの設計を実施する予定であった.切り換え方法の確立と,システム設計に関しては当初の予定通りの進捗である.一方でfMRIを用いた検証に関しては,遅れが生じている.これは,切り換えの方法の最適化に想定よりも時間を要したためである.
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では,fMRIでの検証は卓上サイズの理論検証システムで,日常生活下での検証は理論検証システムを小型化したウェアラブルシステムでと,異なる計測システムで実施する計画であったが,これらを同じウェアラブルシステムで実施することで,計画の遅れを取り戻す.
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Causes of Carryover |
研究計画にやや遅れが生じていることから,計画していた学会発表の旅費並びに,英文校正費として計上していたその他経費を使用しなかったため. 次年度に関しては,ウェアラブル型の計測システムを開発に必要となる電子部品などの購入に研究費を使用する.
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