2022 Fiscal Year Research-status Report
International Strategic Research Alliance for Sustainable Socio-Economic Recovery from the COVID-19 Pandemic in Japan and Asia
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22K21341
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤田 康幸 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (40322078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 大司 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (80346139)
北尾 早霧 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (50769958)
近藤 絢子 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (20551055)
高崎 善人 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (00334029)
山口 慎太郎 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (20793946)
渡邉 安虎 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (60866250)
古川 知志雄 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (30897541)
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Project Period (FY) |
2022-12-20 – 2029-03-31
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Keywords | パンデミックのインパクト / パンデミックからの復興 / 持続可能な開発目標(SDGs) / エビデンスに基づいた政策形成(EBPM) / オルターナティブデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
「日本の社会経済復興と持続可能性」班においては、TSRが継続して収集している大規模な企業個票データに基づき、企業活動の復興と持続可能性についての研究、地方自治体と連携した政府財政の持続可能性に関する研究、「家計調査」「くらしと健康の調査(JSTAR)」、「日本老年学的評価研究機構(JAGES)の岩沼市調査」などの諸ミクロデータの具体的な研究計画構築、収集と解析を行った。 「アジアと世界の新興国における社会経済復興と持続可能性」班においては、ADBがアジア各国の中央銀行・財務省と連携してパンデミック以前より構築してきたAsia Small and Medium-Size Enterprise (SME) Monitorデータベースの解析を行った。また、アジア開発銀行(ADB)との協力に基づき、中国のAlibaba(Ele.me)、インドネシアのGoJekの大規模業務データを用いコロナのインパクト評価を実施した。くらしと社会の復興と持続可能性については、ADBのアジアの人口ダイナミクス・高齢化比較研究と連携を開始した。また、ブータンにおける国家データベース構築準備のため、国際協力機構(JICA)との連携を行った。 「マーケットデザインの経済理論に基づいた復興政策の社会実装」班においては、ADBと連携し、2020年3月のフィリピンのロックダウン下での、食糧配布の効果検証についての分析、公営住宅設計についてシンガポール国立大学と連携し、EMPMを推進した。 事務局体制を構築しつつ、人材育成については、東京大学大学院経済学研究科付属政策評価研究教育センター(CREPE)の元で、特任助教や特任研究員のサーチを実施し、さらに学生のリサーチアシスタントの雇用を開始した。「アジアと世界の新興国における社会経済復興と持続可能性」班を中心として、「高度人材育成先端プログラム」の設計を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「日本班」において、TSRデータ・自治体税務データを用いた研究を推進するとともに、家計調査個票データを用いた少子高齢化・核家族化での世帯消費動向や世帯間消費格差の変化を分析した。また、JAGES岩沼市調査の既存のデータを用いた分析と本年度実施予定の社会実験を準備し、関連する成果の一部を本事業の一環として仕上げ、2月にNature: Scientific Reports上で出版した。 「アジアと世界班」では、ADB SME Monitorデータを用いてコロナ禍の企業へのインパクト研究を行い、成果の一部を論文として取りまとめ中である。また、Alibaba(Ele.me)・GoJekの大規模業務ミクロデータを用いたコロナ禍インパクト評価については、成果の一部を3月にADB主宰の国際会議で報告した。アジアの人口ダイナミクス・高齢化比較研究との連携については、2月にADBの国際会議において、アジア諸国の研究者と意見交換を行った。 日本とアジアにおける「社会経済気象台」構築については、各種衛星画像などの利用可能性について検討、一部入手し準備を進めた。 「社会実装班」においては、ADB連携のフィリピンにおける経済封鎖下食糧配布の効果検証について、呼詳細情報(CDR)データと衛星データを用いた研究を推進した。シンガポール国立大学を訪問し、コミュニティにおける社会関係資本を高めるためのHDB住宅(Housing & Development Board管轄の住宅)の設計の在り方について調査準備を行った。 事務局体制・高度人材育成先端プログラムの構築は未だ途上だが、3月25日~30日に学部生・大学院生を対象とした「フィールド研究トレーニング」を試験的に実施し、国際機関・政府機関を訪問し、研究連携方法について学ぶとともに、スラム地域・農村などでのハンズオンのフィールド調査トレーニングを実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
「日本班」では、国内他大学とのネットワーク構築の元、TSRデータ、財政維持可能性については自治体税務データ、家計調査個票データやJAGESデータを用いた分析を継続する。 「アジアと世界班」では、国際機関やアジア等の諸研究機関との連携を深め、企業や世帯のミクロデータ、政府財政統計、プラットフォーム企業の大規模業務データを用いた分析を継続する。 「社会実装班」においては、パンデミックを含む災害下での支援物資の効率的配分、広く貧困削減におけるくらしのレジリアンス強化のための生活環境設計についての社会実験的な分析を計画している。 日本とアジアにおける「社会経済気象台」構築については、各種衛星画像、輸出入データなどの業務統計、船舶自動識別(AIS)データなどの利用可能性について検討し、準備を進める。 これら成果については、2023年度ホスト予定のAsian Economic Development Conference (AEDC) など国際研究集会での一部の報告、CREPE Discussion Paper等プレプリントを公開するとともに、厳密な査読プロセスを経て、Asian Development Review, Japanese Economic Review等の特集号あるいはトップジャーナルでの出版をはじめ、諸形態での公表・発信を目指す。 事務局体制・高度人材育成先端プログラムの構築については、学術支援担当者雇用、政府・海外からの特任研究員受入れ、国内特任研究員のロンドン大学(UCL)への長期派遣計画がある。さらに、特任研究員を継続してサーチするとともに、「政策評価高度人材育成プログラム」の一環として、「サマーインターンシッププログラム」や学部生・大学院生を対象としたデータ分析の人材育成プログラムである「応用社会科学RAブートキャンプ」も開催する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は研究費が1月に交付されたため、前広に準備が必要な諸項目、機材調達、雇用、国内外の出張の計画と執行を年度内に行うことができなかった。2023年度は、各般のプロジェクトサブコンポーネントを粛々と計画・準備・準備することで2022年度内には執行できなかった研究を実施する。
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Research Products
(17 results)