2021 Fiscal Year Annual Research Report
動的な環状分子が拓く新しい架橋高分子とその機能創出
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21J20689
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
横地 浩義 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 環状高分子 / 動的共有結合化学 / 高分子反応 / 特殊構造ポリマー / エラストマー |
Outline of Annual Research Achievements |
強靭な機能性高分子材料の創製を目的とし、本研究では、動的共有結合を利用した高分子の一次構造制御に着目した。動的共有結合の一つであるビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)ジスルフィド(BiTEMPS)骨格は、熱によりその動的特性のOn-Offを簡便に制御できる。当研究室では、これまでBiTEMPS骨格の結合交換反応を駆動力とした高分子の構造再配列を利用し、BiTEMPSを一つのみ有する環状化合物の合成を達成している。しかしながら、本手法を高分子に適用した際は、環状高分子に加え副生成物として生じる線状高分子を除去することが困難である。 そこで、本手法を高分子へと拡張するため、環状高分子と線状高分子の分離手法について検討した。環化反応の際に副生成物として生成する線状高分子の末端をアクリレートに変換し、チオールを表面に有するポリスチレン粒子と反応させ、不溶不融の微粒子上に固定化することで濾過により簡便に不純物を除去することに成功した。また、4分岐高分子を本手法に適用し、同様に反応性粒子を利用した精製を行うことで、末端を持たない「8」の字型高分子の単離に成功した。得られた8の字型高分子は適切な濃度で加熱することで架橋高分子に変換できることも明らかにした。「8」の字型高分子のアプリケーションとして、ホットプレス機を用いた熱圧縮法によりバルク条件下で透明なエラストマーを合成することにも成功した。さらに、8の字型高分子と環状高分子を所定の比率で混合することで得られる架橋高分子の物性がそれらの仕込み比によりチューニングできることもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は当初の計画に従って期待通りに研究が進展し、本研究の目標の一つである「環状高分子および8の字型高分子の合成」と「高分子トポロジー変換を用いた架橋高分子の合成」において着実な進捗が見られています。具体的には第一著者として執筆した論文が国際学術誌(Macromolecules)に掲載され、表紙に選出されました。また関連する学会において研究発表賞を受賞することもできました。今後も新たな分野の開拓とさらなる研究の発展が見込まれます。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでポリエチレングリコールを用いた環状高分子および8の字型高分子の合成に成功している。今後は、本手法をさまざまな高分子に展開し、種々のトポロジカル高分子を合成する。また異種のポリマー同士の一次構造制御による機能性材料の創出も目指す。さらに、動的共有結合を用いた材料の破壊メカニズムの解明についても着手する。
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Research Products
(7 results)