2023 Fiscal Year Annual Research Report
動的な環状分子が拓く新しい架橋高分子とその機能創出
Project/Area Number |
22KJ1268
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
横地 浩義 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 高分子 / 動的共有結合 / メカノフォア / ロタキサン / 架橋高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
強靭な機能性高分子材料の創製を目的とし、本研究では、動的共有結合を利用した高分子の一次構造制御に着目した。動的共有結合の一つであるビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)ジスルフィド(BiTEMPS)骨格は、熱によりその動的特性のOn-Offを簡便に制御できる。当研究室では、これまで高分子トポロジー変換を利用し、BiTEMPSを一つのみ有する環状化合物の合成を達成している。昨年度までに、本手法を高分子に拡張し、動的な環状高分子を利用したさらなる高分子合成への展開を達成した。 本年度は、可動領域の狭いロタキサン構造を架橋点に有する架橋高分子(RCP)の強靭化メカニズム解明を目指し、力学的刺激に応答するロタキサン型メカノフォアを見出した。合成した種々のRCPの引張試験および計算化学的な解析によって、ロタキサンの末端構造を適切に設計することでロタキサン構造が空間的な犠牲結合として働き、材料を強靭化することを明らかにした。また、力により解離して桃色ラジカルを生じるジフルオレニルスクシノニトリル(DFSN)骨格を分子プローブとして用いて、力によるロタキサン構造の解離を可視化することに成功した。以上より、ロタキサン構造が力学的刺激に応答して構造変換することでRCPが強靱化されることを見出し、これまで未解明であった可動領域の狭いRCPの強靭化原理を明らかにした。また、本成果は米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」に掲載された。
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