2023 Fiscal Year Research-status Report
Reconstructions of living environments at archaeological sites using sedimentary ancient DNA
Project/Area Number |
22KJ1413
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
澤藤 りかい 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 特別研究員(CPD) (50814612)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 古代DNA / sedaDNA / 遺跡土壌 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においてはいくつかの研究成果が挙げられた。特に動植物のDNAだけでなく、遺跡の土壌中に含まれる細菌叢の解析も行い、いくつかの興味深い知見が得られた。 ・チェコの岩陰遺跡であるVelky Mamutak遺跡において、中石器から鉄器時代までの各堆積層から土壌を採取し、DNA配列を決定した。その結果、ヤギ・ブタ・ヒツジ・ウシなど、様々な家畜のDNAが新石器時代初期から青銅器時代にかけて得られ、それによく対応する家畜動物の糞の細菌叢も検出された。このことから、この遺跡では家畜が当時存在していただけでなく、そこで飼育していた可能性が高いことが示された。この成果は既に論文として投稿しており(Zampirolo, Holman, Sawafuji et al. bioRxiv)、申請者は家畜動物の糞の細菌叢の全ての解析を担当した。 ・ウズベキスタンDalverzin遺跡のSector2,Sector9を含む10試料においてライブラリ作成に成功しショットガンシーケンスを完了した。得られたDNA配列データをバクテリア/古細菌/ウイルスと動植物(葉緑体・ミトコンドリア)の包括的なレファレンス配列にアライメントし、どのような分類群が含まれているか解析を行った。その結果、動植物では特にガマ・ヨシの古代DNAがSector2から顕著に検出され、Sector2は水路など水辺に近い環境であったことが推定された。またバクテリアに関しては、Sector9から好熱菌が多く検出され、古代DNA特有のダメージが見られた。このことから、この区画で何らかの人々の活動の影響により、恒常的に高温(50℃程度)が保たれているような状況だったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文になるような成果がいくつか挙げられており、またピットの特徴や居住地に特徴的な土壌DNAの傾向など興味深い結果も得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は今までの成果を論文として執筆することに集中する。また英語論文だけでなく日本語での総説も執筆し、遺跡の土壌DNAから人類学・考古学においてどのようなことが分かる可能性があるのかをまとめ、多くの研究者にこの手法を知ってもらえるように努める。
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Causes of Carryover |
費目別収支状況については、内訳は想定と異なるものの概ね使用額は想定額とほぼ同じ金額であった。学術条件整備費が一部残っており、来年度以降に執行される予定である。
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