2021 Fiscal Year Annual Research Report
Characterization of super adhesive aerosols on the basis of individual particle analysis using atomic force microscopy
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21J21407
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大野 耕平 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 海洋起源エアロゾル / 原子間力顕微鏡 / 付着力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では有機物を大量に含んだ海洋起源エアロゾル、特に海表面マイクロ層(SML)とその成分が濃縮された波の花から発生するエアロゾルをターゲットに、大気環境下におけるこれらの粒子の状態を明らかにしてその付着挙動を解明することを目的としている。令和3年度は原子間力顕微鏡を用いた独自の個別エアロゾル粒子の付着力測定法について、実大気中試料への応用を見据えた改良を行った。海洋起源エアロゾルの主要成分である無機塩やグルコースなどの単糖類といった標準物質を粒子化してその付着力を測定することで、改良後の改善効果について評価した。これにより、一度に複数の粒子を測定できるようになった。また、測定時の周辺環境の湿度制御をするために、装置の改良も行った。加えて、フィールドにおいて採取した波の花の冷凍サンプルから発生させた粒子に対する付着力測定を実施した。その結果、有機物、無機物の混合状態によって付着力に有意な差があることが示された。これらの予備的な結果を国内外の学会で発表し、複数の学会で発表賞(第38回エアロゾル科学・技術討論会; ベストプレゼンテーション賞(ポスター発表部門)、The 16th IGAC Scientific Conference; Honorary Mentions of Early Career Scientist Poster Prize)に選出された。現在これらの結果は国際学術誌に投稿準備中である。また、今後の研究で使用するために、波の花とバルク海水、実大気中粒子のサンプリングを冬季能登半島において行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
波の花粒子の混合状態による付着力の違いに関する結果は複数の学会発表を経てまとめの段階にあり、現在論文の原稿を作成中である。大気エアロゾルの付着力は湿度に大きく左右される。そのため、本年度は原子間力顕微鏡を用いた測定において高湿度から低湿度まで幅広く湿度を保ち測定を行うための装置改良を実施している。今後のより現実の大気に近い条件下での付着力測定の布石となると考えられる。また、本年度予定していた波の花のサンプリングが実施され、波の花とバルク海水、実大気中粒子を採取できたため、今後改良された手法を適用することで研究の進展が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は幅広い湿度環境下での海洋起源エアロゾルの付着力の変動を解明することを目指す。また、実大気中粒子および波の花やSML試料から発生させたエアロゾルだけでなく、これらに含まれる有機物を特定し、その標準粒子の付着力の測定も重要になると考えられる。現在は単糖類を中心に標準有機物をエアロゾル化させて測定を行っているが、脂質やジカルボン酸といった有機物も海洋起源エアロゾルでは重要な成分だと考えられているため、これらの粒子の付着力測定を今後行う必要がある。またSEM-EDXや顕微ラマン分光などを用いて実大気中に浮遊した海洋起源エアロゾルの化学組成による付着力への影響の解明を目指す。これらの結果は国内外の学会で発表するとともに、国際学術誌での発表を行う。
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