2022 Fiscal Year Annual Research Report
「生体膜リン脂質-膜タンパク質連関」から紐解く神経障害性疼痛発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
21J00759
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
山本 将大 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 脂質生命科学研究部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | リゾリン脂質アシル転移酵素 / リン脂質クオリティ / アラキドン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,生体膜リン脂質を土台として機能する膜タンパク質に注目し,土台である膜リン脂質の(どのような)変化がタンパク質の活性に(どのように)影響するのかを検証することを目的とする。特に,感覚受容経路における脂質-タンパク質相互作用に注目する。 2022年度は,2021年度に見出した“DRG神経特異的なLPCAT3欠損マウスでは神経障害性疼痛が抑制傾向である”という知見に関して,さらに解析を進めた。アラキドン酸含有リン脂質合成酵素LPCAT3のサテライトグリア特異的欠損マウス,およびマクロファージ特異的欠損マウスをそれぞれ作製し,神経障害性疼痛の解析を行ったところ,マクロファージ特異的欠損マウスではコントロールマウスと同程度の疼痛症状を示したのに対し,サテライトグリア特異的欠損マウスは疼痛抑制傾向を示した。さらに,DRG神経特異的欠損マウス,サテライトグリア特異的欠損マウスの後根神経節組織を採取し,リン脂質解析を実施した。DRG神経特異的欠損マウスでは,アラキドン酸含有リン脂質が著明に減少し,神経損傷による増加も抑制されていた。サテライトグリア特異的欠損マウスでは,正常時でのアラキドン酸含有リン脂質量に変化は認められないが,神経損傷後の増加は抑制傾向が認められた。また,炎症性疼痛モデルでは後根神経節におけるアラキドン酸含有リン脂質の増加は起こらず,さらに,上記の両マウスにおいて疼痛解析を実施したが顕著な抑制傾向は認められなかった。 今後は,より詳細なメカニズムの解析が必要である。また,昨年度に見出した他の神経系細胞におけるリン脂質リモデリングの意義についても解析を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度に見出したLPCAT3-DRG neuron特異的欠損マウスでは神経障害性疼痛が抑制するという知見をより深めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度までに得られた疼痛に関わる知見について,より詳細なメカニズムについて検討を進める。 さらに,グリア細胞における脂質リモデリングの意義についても解析を進める。
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Research Products
(5 results)