2022 Fiscal Year Research-status Report
災害・気候変動対応策への投資と社会的脆弱性・地域復元力の関係解明:NY市を対象に
Project/Area Number |
22KK0066
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井内 加奈子 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (60709187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 亮 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (60401303)
大津山 堅介 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (50881992)
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Project Period (FY) |
2022-10-07 – 2027-03-31
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Keywords | 災害・気候変動対策 / 社会的脆弱性 / 地域復元力 / ニューヨーク / 不動産価格 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ハリケーンサンディの被災から10年が経過する米国NY市を対象に、復興・減災投資が社会脆弱性・地域復元力に与えた影響を探り、居住性・公平性・回復力・経済的活力のある地域形成のあり方を探ることを目的としている。この際、復興・減災投資を、①不動産の買い上げと土地利用対策や、②住宅のかさ上げ支援、③洪水ハザードマップと洪水保険制度(空間の再編成に対する対策)、および、④デザイン過程の参加事業、⑤気候変動適応策・イニシアチブ(行政構造や利害関係者の意識への対策)と定義する。
5年度にわたり実施する本研究の第1年目は、研究立ち上げの段階として、①研究枠組みの再確認と、脆弱性や回復力に関する先行研究の整理やNY市における復興・減災投資に関係する行政資料の収集、および、②国際共同研究者と研究目的の共有・準備の開始を目的とした。特に、NY市域の空間における脆弱性の評価を行うために、社会的脆弱性の定義の検討を開始し、先行研究の整理と、NY市で実践されている復興・減災投資の現状について、資料の収集を開始した。また、2022年11月には、国際共同研究者らとの会議のためNY市に赴き、社会脆弱性の再定義に関する議論と不動産価格の変容解析のための必要データの種類や入手方法について調査・検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、NY市における空間評価に向けて、市の復興・減災投資についての情報・資料収集を開始したほか、分析に必要となるデータ(人口センサス、住宅、ハザード、投資事業)の種類や一部収集の方法について検討・考察を加えている。また、米国側研究者とも、社会的脆弱性や地域レジリエンスの定義づけ、また分析の方法について共同で検討を開始している。このような研究活動をNYの現地にて開始しており、研究は概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の2年目となる2023年度は、前年度に開始したNY市の復興・減災投資に関連する情報を補足し、NY市の復興・気候変動戦略や事業枠組みを確認する。また、定量的アプローチによる過去10年間の空間パターンの変化の分析に向けて、入手可能なデータの洗い出しと入手に努める。加えて、分析の方法を検討しプレテストを開始する。さらに、2024年度以降に特定する、サンディ後に空間変容が見られたコミュニティの社会経済・生活の変化についての分析を進めるため、復興・減災投資対象地区のあたりをつけるほか、社会脆弱性・地域復元力の定義についての検討を継続する。情報収集の一環として、2023年6月にコロンビア大学で開催されるManaged retreat conferenceに出席し、情報収集・発表を行う。
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Causes of Carryover |
メンバーのNY市への渡航を計画していたが、コロナ禍の影響が継続していたため、研究代表者のみの渡航となった。2023年度には、全メンバーのNY渡航を計画している。
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