2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23000003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永江 知文 京都大学, 理学研究科, 教授 (50198298)
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Project Period (FY) |
2013 – 2015
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Keywords | ストレンジネス / ハイパー核 / グザイ・ハイパー核 / 実験核物理 / J-PARC |
Outline of Annual Research Achievements |
実験課題審査会(PAC)に既存のスペクトロメーターSKSを利用した(K-, K+)反応の測定のためのビームタイムを約2週間要求してこれが認められ、10月26日から11月19日にかけて実験を実施することができた。この測定では、SKSの大きな立体角(110msr)と比較的分厚い標的(9.3g/cm2)を利用して高統計でエネルギー分解能約5 MeV(FWHM)の測定が可能である。これまでで最も高統計のデータであるブルックヘブン研究所E885実験の約3分の1の統計ではあるもののエネルギー分解能で約3倍凌駕することができる。使用した標的は炭素標的とポリエチレン(CH2)標的の二種類である。ポリエチレン標的からは、水素標的からのK-p→K+Ξ-という素過程反応が測定可能で有り、これによりエネルギー分解能を評価したところ6 MeVの分解能が達成できていることを確認した。また、入射K-ビームの運動量によるΞ粒子の生成断面積の依存性の測定も、従来の統計精度を2桁近く改善することに成功した。1.5 GeV/c~1.9 GeV/cでの依存性から、1.8 GeV/cにおいて最大の生成断面積をもつことが世界で初めて高統計で確認することができた。炭素標的の実験データの解析も進め、2016年3月の物理学会では、予備段階での解析結果を発表することができた。結果として、Ξハイパー核の束縛領域に予想通りに数十事象の信号を観測することに成功した。バックグラウンドレベルに対して、統計的には十分有意とみられるが、詳しいデータ解析を更に進めているところである。ピーク位置から束縛エネルギーを決定できると期待している。新規の磁気スペクトロメーターS-2Sの磁石も全て完成した。トリガー系を含む検出器系もほぼ順調に完成している。
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Research Products
(9 results)