2011 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーの分子機構の解明と細胞生理学への統合
Project/Area Number |
23000015
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大隅 良典 東京工業大学, フロンティア研究機構, 特任教授 (30114416)
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Keywords | オートファジー / ATG / タンパク質分解 / ユビキチン様タンパク質 / 膜動態 |
Research Abstract |
本研究の第一の課題であるオートファジーの膜動態の解明に関しては、Atgタンパク質の細胞内動態の可視化をさらに進めた。特に隔離膜を可視化する系を確立し、PASと伸展する隔離膜にそれぞれ局在するAtgタンパク質の空間配置を明らかにし、Atgタンパク質の機能単位の機能に関する知見が得られた。(論文投稿中)。飢餓によって形成が誘導されるPASの基盤をなすAtg17-Atg29-Atg31、さらにAtg1-Atg13を結合した5者複合体が安定になる細胞破砕条件を確立し、これらの因子間の相互作用、液胞膜局在を規定する因子の同定が進んだ。オートファゴソーム形成に必須な18個のAtgタンパク質で唯一の膜タンパク質であるAtg9の大半が細胞質を動き回る30-60nmの膜小胞として存在し、PASに少数が集積した後、最終的にオートファゴソームの外膜に局在することが明らかとなった(論文revise中)。Atg9小胞を単離精製することに成功し、小胞に局在するタンパク質を質量分析により同定した結果、tetheringに関わる2つの因子が同定され、Atg9小胞の機能の一端が明らかとなった(論文投稿中)。機能未知のAtg2-Atg18複合体の機能解析を進めた(一部投稿中)。Atgl2-Atg5結合体がAtg3の活性中心のコンフォメーション変化を誘起することでE3様の機能を発揮することが明らかとなった(論文投稿中) オートファジーの生理機能の解析に関しては、系統的なメタボローム解析を進める上で、今年後半に導入されたファーメンターを用いた培養条件の検討を進め、その最適化を図った。GC/MASを用いて細胞増殖の終盤で起こるメタボライトの変動と、オートファジーの誘導との関わりを明らかにする計画を本格的に開始した。オートファジー不能株が鉄代謝における顕著な表現型を示すことを明らかにし、その要因の解明を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5年間の研究計画の初年度に当たり、研究員、技術員などの陣容も整い、順調にスタートをしたと考えられる。現在論文を5報投稿中であり、今後の新たな展開が期待できる。生理機能の解析は、GC/MS,ファーメンターの納期などの関係で若干予定していたより遅れ気味であるがポスドクを新規に採用したことで加速することを期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画から特段の変更はない。タンパク質の精製、リン酸化などの修飾、構造生物学に依拠した複合体形成など生化学的な解析では研究を進める上での技量は大変優れていると自負している。今後新たに細胞内における相互作用を検出することが今後の展開で重要であると考えている。今後新たにAtgタンパク質群のPAS近傍での動態を、相互作用を新たなFRAPなどのイメージング手法を導入して解析できるシステムを構築することが急務である。そのために本年4月よりポスドクを一人配置して強化をはかった。
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