2012 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーの分子機構の解明と細胞生理学への統合
Project/Area Number |
23000015
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大隅 良典 東京工業大学, フロンティア研究機構, 特任教授 (30114416)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オートファジー / ATG / タンパク質分解 / 酵母 / 細胞制御 |
Research Abstract |
本研究が発足して2年が経過し、本年度の主なる成果は以下の通りである。第一の柱であるオートファゴソームの形成機構の全容解明に関しては、この1年に11報の原著論文を公表し、順調に進展している。1.結合反応系に関して微化研・野田展生氏との共同研究が予想以上に展開し、オートファジーに関わる2つのユビキチン様の結合反応系の特性が明らかになった。また構造情報に基づいてAtg12-Atg5のAtg8の脂質化反応の促進作用の機構が解明された。またAtg4の脱修飾機能の生理的意義が明らかとなった。2.Atgタンパク質で唯一の膜タンパク質であるAtg9がゴルジ体由来の直径約50nmの細胞質を動き回る膜小胞上に存在し、飢餓により液胞近傍のAtg1を中心とするscaffold複合体にAtg9小胞が3個程度集合し、膜融合の後、隔離膜、オートファゴソーム膜の一部となることを明らかにした。初めて小胞輸送系の関わりを示し、その役割の一端を明らかにした。3.これまで困難であったAtg18の構造解析が耐熱性酵母を用いることで可能となりAtg2との相互作用様式が明らかとなった。 第二の柱であるオートファジーを代謝系と関連づけ、増殖、分化過程に統合する課題に関しては、まだ論文公表に至っていないが、今年度導入したGC-MS、制御性の高いファーメンターの使用条件が確立し課題が明確になった。1.非栄養要求性株を用い種々の組成の合成培地における野生型とオートファジー不能変異の増殖を比較検討し、増殖の後期にオートファジーが誘導されること、それが発酵から好気的な呼吸増殖への転換に必須あること、その過程にイオンのホメオスタシスが重要な役割を持っていることを明らかにした。 2.飢餓誘導によるオートファジーによる、メタボライトの変動を解析し、アミノ酸、中心代謝物、核酸代謝物の変化とその生理的な意味について興味深い結果が得られつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オートファゴソーム形成の分子機構に関しては国際的にも競争が激化しているが、長年の蓄積をもとに着実な進展をしている。生理的な解析に関しては培養条件を含めて準備に長時間を要したが、今後は着実な展開が期待できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
膜動態については、Atg1,Atg13,Atg17,Atg29,Atg31の5者複合体、超分子複合体の形成機構、その過程における段階的な種々のキナーゼによるリン酸化制御、PI3 キナーゼ複合体の形成機構、Atg9の機能解析、ERなど小胞輸送系との関連などの理解が進みつつあり、より精緻な生化学的な解析と、微細形態学の結合がますます重要となっている。第二の柱に関しては漸く質量分析、イオンの定量、必要な抗体の取得など分析技術が整い、データは集積しつつあり、可能な限り近々に得られた結果を世に問うことが重要であると考えている。
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[Journal Article] Noncanonical recognition and UBL loading of distinct E2s by autophagy-essential Atg7.2012
Author(s)
Yamaguchi M, Matoba K, Sawada R, Fujioka Y, Nakatogawa H, Yamamoto H, Kobashigawa Y, Hoshida H, Akada R, Ohsumi Y, Noda NN, Inagaki F.
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Journal Title
Nat. Struct. Mol. Biol.
Volume: 19
Pages: 1250-1256
DOI
Peer Reviewed
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