2014 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーの分子機構の解明と細胞生理学への統合
Project/Area Number |
23000015
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大隅 良典 東京工業大学, フロンティア研究機構, 特任教授 (30114416)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | オートファジー / ATG / タンパク質分解 / 酵母 / 細胞制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画4年次に当たる今年度の主なる成果は以下の通りである。第一の柱であるオートファジーの膜動態を支える膜動態の機構解明に関しては、 1. オートファゴソーム形成の初期過程の理解が進んだ。初期過程の制御に中心的役割を担うAtg13はN-末端HORMAドメインとC-末の長い天然変性領域からなる。TORにより高度にリン酸化されたAtg13は、飢餓により速やかに脱リン酸化が起こる。天然変性領域に多数のリン酸化部位を同定した。その領域内にAtg1とAtg17の結合領域を見いだした。これらの結合領域ペプチドとAtg1, Atg17との共結晶の構造解析から、それぞれAtg1とAtg17との結合様式が明らかになった。Atg13の脱リン酸化によってAtg1のみならずAtg17との結合が制御され、Atg1, Atg13, Atg17, Atg29, Atg31からなる5者複合体が形成される機構が明らかとなった。ついでAtg13のHORMAドメインを介してAtg9ベシクルがリクルートされことを明らかにした。 選択的オートファジーはHrr25キナーゼによるリセプターのリン酸化が重要な制御をしていることが明らかになった。 2. 第二の柱であるオートファジーの増殖時の生理機能に関しても、新たな成果が得られた。メタボローム解析から飢餓誘導のオートファジーによって、多量なRNAが分解されることを明らかにした。この過程に働くRNase(Rny1), nucleotidase(Pho8), nucleosidase(Urh1, Pnp1)を同定した。最終産物である塩基はその殆どが細胞外に排出される。生理的に重要なZnの飢餓によって顕著なオートファジーが誘導されることを見いだし, その機構の解析を進めた。非発酵培地で増殖する酵母の炭素飢餓によって誘導されるオートファジーの解析が進んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの長年の酵母のオートファジーに関する知見の積み重ねを最大限いかして、我々のグループで、はじめて可能な精緻な解析が進んだ。現在、PASに多数のAtg1 complexが集積する機構、さらに我々が提唱したヒエラルヒーに基づくAtg機能単位の集積の分子機構の解明を図ることができると考えられる。 Atg9ベシクル、隔離膜とその前駆体膜の質量分析により、機能タンパク質、脂質に関する新しい知見が得られると考えられる。コアAtg以外の生存に必須な因子に関して近年米国、ドイツで関連した課題の解析結果が報告され始めているが, 何れも我々の結果と相容れないものである。生理学的解析は多くの未知の課題が明らかになり、分解基質の運命について明確な結果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画最終年度に当たり、研究室のスタッフも激しく変化することが予想される. 研究課題を効率よく遂行し、成果を終了時までに公表するために最大限の努力を行う予定である。 第一の課題に関しては引き続き微化研の野田展生氏との緊密な共同研究を実施する。質量分析はタンパク質、ペプチドは横浜市大、平野久氏, 脂質に関しては東大、新井洋由氏との共同研究として進める。 第二の課題に関して現在進行中で今後の発展が期待されるRNAの分解の選択性、タンパク質の液胞内分解の詳細と、その手法を用いた選択性の網羅的な解析を目指す。
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[Journal Article] Atgl3 HORMA domain recruits Atg9 vesicles during autophagosome formation2015
Author(s)
Suzuki, S.W., Yamamoto, H., Oikawa, Y., Kondo-Kakuta, C., Kimura, Y., Hirano, H., and Ohsumi, Y.
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Journal Title
Proc. Natl. Acad. Sci. USA.
Volume: 112
Pages: 3350-3355
DOI
Peer Reviewed
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