2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝毒性試験の新機軸-DNA損傷、突然変異、染色体-
Project/Area Number |
23221006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 知成 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50273488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井倉 毅 京都大学, 放射線生物研究センター, 准教授 (70335686)
足立 淳 独立行政法人医薬基盤研究所, プロテオームリサーチセンター, 研究員 (20437255)
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Keywords | 遺伝毒性試験 / DNAアダクトーム / 突然変異 / 染色体異常 / 次世代DNAシーケンサー / プロテオーム |
Research Abstract |
本研究では遺伝毒性のメカニズムをDNA損傷、突然変異、染色体のレベルで明らかにする、新しい遺伝毒性試験の開発を目指している。まず、DNA損傷をLC/MS/MSで網羅的に検出する方法、「DNAアダクトーム」を用いて、カーボンナノチューブやフラーレン等のナノマテリアルのDNA損傷性の評価や、ラット個体を用いたDNAアダクトーム法の適用研究を行った。 次に、任意の組織の任意の遺伝子における突然変異を検出する方法、「SMRT法」の開発をめざし、SMRTDNAシーケンサーに関する情報収集するとともに、テンプレート作成法の開発を進め、平成24年度にパイロット実験を行う目途をつけた。 一方、次世代シーケンサーを用いて、化学物質が誘発する突然変異をゲノムワイドに検出する手法を考案した。まず、サルモネラ菌を用いたパイロット試験として、変異原処理したサルモネラ菌5クローンと、未処理の5クローンをランダムに選択し、全ゲノムシーケンスを行った結果、変異原処理したクローンで複数の突然変異を検出できた。すなわち、表現型によらない、機器分析による突然変異の検出に道を開いたことになる。 さらに、「DNA損傷を介さない染色体異常誘発の分子ターゲット」を明らかにするため、TIP60およびヒストンH2AX、ミスマッチ修復酵素MLH1などに着目したストレス応答ネットワークのプロテオーム解析を行い、染色体異常を高感度に検出するバイオマーカー候補を探索した。また、DNA損傷応答に関わるタンパク質に着目して、リン酸化プロテオーム解析によって、独自に構築したγ線応答性リン酸化タンパク質データからATM/ATRの基質認識配列であるSQ/STモチーフをもつ基質部位を898個抽出した。これらの中には既知・未知問わず多数のDNA損傷応答に関連するタンパク質が含まれていると考えられ、次年度以降の研究材料として用いる予定である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAアダクトーム法をin vivo試験へ展開し、invivoでもDNA付加体の検出が可能であることが確認できた。また、SMRT法のパイロット実験に必要な解析委託先を見つけ、テンプレート作成にも一定の目途をつけた。さらに、イルミナ社の次世代DNAシーケンサーを導入し、SMRT法とは異なる突然変異解析法のパイロット実験を成功させた。また、染色体異常にかかわるタンパク質の複合体解析も順調に行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
DNAアダクトーム法に関しては、あたらしい遺伝毒性試験方法として広く認知されるように、さらにデータを蓄積する。SMRT法に関しては、24年度中にパイロット実験を成功させたい。イルミナ社の次世代シーケンサーを用いる突然変異検出系については、24年度中にヒト細胞株を用いたパイロット実験を成功させる予定である。タンパク質複合体解析については、今までの複合体解析やリン酸化プロテオーム解析により重要性が示唆されたものについて行っていく予定である。
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Research Products
(35 results)