2011 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本における階層意識と格差の連関変動過程の実証的解明
Project/Area Number |
23223002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉川 徹 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (90263194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 忠彦 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (10247257)
浜田 宏 東北大学, 文学研究科, 准教授 (40388723)
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Keywords | 階層意識 / 格差社会 / 面接社会調査 / 実験シュミレーション / 時点間比較 |
Research Abstract |
本研究は多様なアプローチから日本の階層意識の全体像を描き、格差実態と階層意識の連関変動のメカニズムを明らかにする目的で進められている。本年度は、6月の採択結果内示を受けてただちに大阪大学、統計数理研究所、東北大学、金沢大学に研究拠点を立ち上げた。これらの研究拠点形成により、この先5年度の研究組織運営の基盤を築いた。そして実証データの解析に関心をもつ研究者約50名を組織化して、SSPプロジェクト研究会を立ち上げた。 具体的な研究実績としては、前年度にデータ収集を終えていたSSP-I2010調査のデータの数値のコーディングとクリーニングを行なって、共同研究メンバーに配布した。これと並行して階層認知の数理理論の確立をめざした実験シミュレーションを開始した。加えて、階層意識についてのウェブ調査の方法開発と、さまざまな調査項目の検討を目的として、インターネットを用いてSSP-W2012調査を実施した。 研究成果の公開にかんしては、研究メンバーにより8月、11月、12月の3度研究会を開催した。加えて、2月には統計数理研究所において、本年度の研究成果を総括報告する公開シンポジウムを開催した。さらに、メンバー各自が階層意識研究のこれまでの知見を論文や書籍として取りまとめ、公刊している。これは研究の枠組み構築と最新の状況把握のために有用な業績となった。 今後の研究計画にかんしては、本研究計画において2015年に実施予定の大規模調査で、どのような内容を、どのような対象者に、どのような方法で尋ねるかという調査設計についてメンバー間で検討を開始した。今年度はアメリカのGSS調査、日本の国民性調査、JGSS調査およびSSM調査において、どのような調査運営がなされているのかについて資料収集したり、実地視察を行ったりした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査データの整理が予定通り進み、最新の調査データを分析に基づいて研究会を開催することができた。調査データ解析による研究成果は報告されていないが、理論枠組のレビューについては研究成果が発表されている。また当初予定していた実験やシミュレーションによる理論構築のほかに、ウェブ調査を実施することができ、次年度以降に継続して解析するデータが多く準備された。加えて、研究者ネットワークも構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、時代のニーズにあった格差や階層についての日本人の考え方の把握を目標として計画された。この後も、この研究方針を維持して研究を進めていく。加えて、2011年3月に発生した東日本大震災により、日本人の公共性、格差観、安全意識がどのように変化したのかに関心が高まっている。このことについては、方法論上可能な範囲で調査データから時点間比較していく。これらの成果は、国際水準の学術研究として報告すると同時に、国内に広く社会的な発信に努めたい。
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Research Products
(61 results)