2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23224005
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
有本 信雄 国立天文台, ハワイ観測所, 教授 (60242096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 生 国立天文台, ハワイ観測所, 准教授 (40399275)
田中 壱 国立天文台, ハワイ観測所, RCUH職員 (70374890)
西村 徹郎 国立天文台, ハワイ観測所, 名誉教授 (90260017)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | 光赤外線天文学 / 銀河天文学 |
Research Abstract |
本研究は、すばる望遠鏡の主力装置の一つである近赤外線広視野カメラ・多天体分光器MOIRCSの機能更新を実施し、多数の遠方銀河の分光観測によって、星形成量・金属量・ガス運動といった性質を調査し、銀河の形態が発現する過程を明らかにすることを目的としている。 ・すばる望遠鏡の近赤外線観測装置MOIRCSの機能更新 MOIRCS機能更新として、面分光ユニットの新設と検出器の交換を実施する計画を進めている。今年度は、面分光ユニットの詳細設計を推進した。ファイバーを用いた面分光システムについて、入射部を加工したファイバーを用いたデザインに基づいて、焦点面機構の設計を行い、製作を開始した。マイクロレンズアレイを用いたシステムについては、詳細仕様を決定し、光学部品を調達し冷却試験を進めた。また、検出器の更新については、H2RGアレイと読出し回路の調達を完了し、H2RGアレイとSIDECAR ASIC、アクイジションモジュールを組み合わせた構成での装置焦点ユニットの設計・製作を行った。 ・科学研究 機能更新後の観測に向けた遠方銀河サンプル形成については、昨年度までの検討をさらに進め、具体的なターゲットの選定、観測計画の具体化を行った。先行して実施可能な、可視分光観測による中間赤方偏移の銀河団内の楕円銀河の星種族構成の観測的研究を提案した。また、補償光学装置と狭帯域フィルターを用いた空間的詳細構造の観測的研究等を推進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたMOIRCS機能向上計画にしたがって、1. 検出器更新 2. 面分光機能の追加 3. MOIRCSの機能向上の三点に取り組んでいる。検出器更新については、検出器本体、読出し系の調達を進めると共に、MOIRCSへの組み込みのための焦点面機構の設計を進めた。面分光機能については、ファイバー式とマイクロレンズ式の面分光ユニットを平行して検討・開発している。これらの新規開発については、当初計画していた研究員として適切な人材を雇用することができず、主としてハワイ観測所エンジニアや外部エンジニアとの共同作業による設計、外部業者による製作、さらには日本国内の研究者の協力によってマイクロレンズ式面分光ユニットの設計、製作を進めている。 観測的研究については、当初計画通り、MOIRCSの機能向上を果たした上で実施する観測計画の検討を、幅広い研究者の協力を得ながら進めており、主要な科学的課題の設定を行った。 以上により、開発研究、観測的研究の両面において、特に開発研究について一部に遅れがあるが、全体としておおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
面分光ユニット開発については、マイクロレンズ式面分光ユニットの開発を、面分光装置開発の経験を有する研究者の協力を得て進めている。必要な光学系の調達を行い、性能の検証を進めている。国立天文台先端技術センター(三鷹)において試験を進め、完成後ハワイ観測所へ移送する計画である。 検出器部分の開発は、焦点面への組み込み部分の製作を行った。今後冷却試験、動作パラメータの最適化とMOIRCSの制御ソフトウェアとのかみ合わせを遅滞なく進めていくために、海外機関との協力を行うべく、必要な協定文書等の作成を行っている。観測的研究については、研究計画を検討する中で、銀河内部の分解を行うために、「MOIRCSによる広視野の観測」と「補償光学による銀河の内部を分解した観測」を組み合わせた観測を行うという新たなアイデアに基づいた観測提案をはじめ、本課題のために雇用した研究員を含めて活発な研究活動を展開している。
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