2011 Fiscal Year Annual Research Report
中性K中間子の稀崩壊で探る標準理論を超える新しい物理
Project/Area Number |
23224007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山中 卓 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20243157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松原 健 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (30242168)
南條 創 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40419445)
鈴木 史郎 佐賀大学, その他部局等, その他 (50089851)
田島 靖久 山形大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (50311577)
松村 徹 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 講師 (00545957)
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Keywords | 素粒子実験 / 対称性の破れ / K中間子 / 稀崩壊 |
Research Abstract |
J-PARC KOTO実験の建設のために主に次の事を行った。 1.電磁カロリメータが地震で破損していないことを確認し、将来の地震に備えた対策を施した。また、真空中で動作させ、ケーブルから出るガスによって光量が落ちる問題を発見したので修復し、防止対策を取った。2012年1月に震災後初めてビームを得、電子を用いて性能を測定した。 2.荷電粒子検出器を2面製作し、カロリメータの前面に設置した。これは厚さ3mmのシンチレータを波長変換ファイバーとMPPCを用いて読みだすものであり、少ない物質量と高い光量の要求を満たす。 3.大型円筒形のガンマ線検出器を増強するために、現存する検出器の内側に一回り小さな円筒形の検出器を作る。この測定器の材質を比較検討した結果、鉛とシンチレータの積層型に決定した。また、シンチレータの読み出しに適した波長変換ファイバーを選択した。これらの決定に時間を要したため、予算を繰越し、ファイバーと鉛板、光電子増倍管を2012年度に購入した。また、長さが実機の1/10のひな形の測定器を作り、性能を確認した。 4.カロリメータ下流、ビーム中に置く、エアロジェルを用いたチェレンコフ型のガンマ線検出器を製作した。また、崩壊領域上流に設置する、CsI結晶を用いたガンマ線と中性子の検出器の開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災のため、当初の計画よりは約1年遅れたが、それでも測定器の修復にマンパワーを投入し、1年後に実験を再開することができた。その後も試験的なデータ収集、測定器の立ち上げ、大型測定器の組み立てなどを行い、2012年12月にはほぼ全ての測定器を組み上げてデータ収集を行うところまでこぎつけた。 また、大型ガンマ線検出器の増強についても初めは目論見より遅れていたが、予算を繰り越すことによって材料の選定、調達終え、ひな形の製作なども行い、2013年度に測定器を製作して設置できる見通しが立った。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年5月から6月まで、初めての物理解析用のデータを収集する。その後、データの詳細な解析を進め、初めて標準理論を超える物理があり得る領域に踏み込む。 また、2013年夏から冬まで加速器が停止している期間を利用し、大型ガンマ線検出器の増強を行う。
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Research Products
(32 results)