2011 Fiscal Year Annual Research Report
超強磁場中性子・XMCDによる量子磁気偏極相の解明
Project/Area Number |
23224009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野尻 浩之 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80189399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳴海 康雄 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50360615)
桑原 慶太郎 茨城大学, 理工学研究科, 准教授 (90315747)
中村 哲也 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 主幹研究員 (70311355)
中島 健次 (独)日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究主幹 (10272535)
大山 研司 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (60241569)
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Keywords | 超強磁場 / 量子ビーム / 中性子散乱 / XMCD / 量子相転移 |
Research Abstract |
本研究の目的は、超強磁場中性子回折とX線分光と超低温を組み合わせて、熱揺らぎを押さえた超低還元温度下の磁場誘起量子相において、特異な量子状態や量子相転移の探求などを進め、新分野:超強磁場量子ビーム科学を飛躍的に発展させることである。 23年度は、国内中性子施設の稼働が限られているため、以下の通りSPring8の放射光実験を先行して進めた。 1.中性子用パルス磁場の長時間化と精度向上のために、コンデンサ電源の容量増強のための改造設計を行い、また、超低温化において鍵となるスプリットコイルの開発に成功した。 2.XMCD実験の世界記録を30Tまで延ばすと共に、X線実験の長時間化のために容量を3倍にした新電源を設計し、あわせて、長時間化と40Tまでの強磁場化に対応した真空チェンバーの改良を行った。また、スパッタ機構等の試料表面操作性の改良を実施した。 3.超低温達成のため、縦型および3Heクライオスタット開発を推進した。 4.空輸可能な小型パルス磁場電源を開発し、英国ISISパルス中性子施設において実証実験に成功した。 これらの技術開発により以下のような学術的成果が得られた。 1.電荷秩序型マルチフェロイック物質LuFe204において電荷秩序と磁気相関の関係を明らかにした。 2.価数転移を示すEuNi2(Si,Ge)において軟X線MCDによりEuの磁気偏極を直接決定した。 3.BiFeO3の磁場誘起相転移における磁気構造変化を強磁場中性子回折により検証した。 4.スピンクロスオーバー物質における元素・軌道選択的な磁気偏極の評価に成功した。 これらの成果は2012年前期に3つの主要な国際会議への招待講演など、国内外で高い評価を受けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、外的要因として国内中性子施設の稼働がされないという困難の中でも、放射光実験で先行して成果を出すと共に、中性子実験のための技術開発を順調に進めており、計画に照らして予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、国内中性子施設の稼働開始、国外施設への実験、高精度化したX線MCD装置の本格的な稼働など、23年度の開発研究を基盤にした飛躍が期待できるため、計画に沿って研究の推進を図る。
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Research Products
(26 results)