2012 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ冬虫夏草由来のマウス海馬修復因子の構造解析とヒトへの応用開発
Project/Area Number |
23228001
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
鈴木 幸一 岩手大学, 研究交流部, 特任教授 (20003791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
御領 政信 岩手大学, 農学部, 教授 (80153774)
品田 哲郎 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (30271513)
高橋 智 岩手医科大学, 医学部, 教授 (50216719)
吉岡 芳親 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任教授 (00174897)
寺山 靖夫 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70146596)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | 昆虫機能利用 / 生理活性 / 生物有機科学 / 脳神経 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
カイコ冬虫夏草ハナサナギタケ(Paecilomyces tenuipes)の熱水抽出物から、マウス新生児(生後0日目)の大脳神経細胞初代培養によるバイオアッセイ系と順相フラッシュカラムクロマトグラフィーの組み合わせにより、海馬修復因子の有力候補は、アストロサイト-増殖因子の一種であることを特定することに成功した。すなわち、アストロサイトアッセイ系として、バイオシェーカー処理、細胞濃度調整、サンプル添加、そして培養後のDAPI染色(核染色)、GFAP(アストロサイト染色)、NSE(神経様細胞染色)を経て、順相フラッシュカラムクロマトグラフィーのF5画分に増殖因子が存在することを明らかにすることができた。 さらに、倫理審査結果とインフォームド.コンセントに基づいたヒト試験により、カイコ冬虫夏草ハナサナギタケ粉末(200㎎カプセルx4/朝晩2回/日)を経口投与した結果、9人中7人のアルツハイマー患者の髄液中におけるアセチルコリン濃度が増加傾向にあることを明らかにした。 一方、MRIおよびMRSの脳機能評価方法として新たに注目されるコネクトームを検討した。その結果、新たな脳機能の指標と考えられる脳内温度の計測法の高性能化により、脳活動に伴う微小な温度変化を検出できるようにし、いくつかの仮定下であるが、付加的な脳の消耗エネルギーも計算できた。また、MRIで非常に重要なセンサーとなる磁気波用のコイルを開発し、脳機能評価精度を向上することができた。代謝物質を対象としてMRSにおいて、脳外科患者の手術前後での認知機能と相関するデータ(NAA/CrnとCho/Crnの相対的な増加がみられる場合には機能回復、低下する場合には機能低下を示す)を得ることができ、これらのパラメーターが認知機能と相関することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海馬修復因子がアストロサイト-増殖因子であることを初めて確認することができた。遺伝子発現解析には多少の遅れ(半年程度)が発生しているが、活性因子が従来知られていないアストロサイト-増殖因子に絞れたことは、今後の飛躍に通じるものである。 一方、倫理審査結果とインフォームド・コンセントに従いヒト試験を開始し、9人の内7人のアルツハイマー患者の髄液アセチルコリン濃度に増加が認められたことは、画期的な成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
海馬修復因子として、アストロサイト-増殖因子の最終的な構造決定を行い、そのメカニズ解析のために遺伝子発現を次世代シークエンサーによるup-regulationとdown-regulationから明らかにする。また、脳機能向上のための機能性食品と医薬品候補物質の開発を目指すためには、産地別(チベット産冬虫夏草、韓国産カイコ冬虫夏草ハナサナギタケ、タンク培養ハナサナギタケ)におけるアストロサイト-増殖因子の定量化を目指す必要がある。 一方、9人~10人レベルのヒト試験から大規模レベル(100人程度)のヒト試験へのステップアップが大きな課題となるが、この規模のアルツハイマー患者は岩手医科大学において十分達成可能であるが、慎重な倫理審査手続きならびにインフォームド・コンセントが不可欠になる。また、100人規模のカイコ冬虫夏草のサンプル供給になると材料費だけで1千万円以上の確保が必要になることから、岩手医科大学と岩手大学の綿密な連携の強化が重要になる。さらに、MRIとMRSの脳機能評価法が進展したことから、100人規模の患者の中から認知機能解析に活用することを目指している。
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Research Products
(32 results)
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[Journal Article] Metabolome analysis of food-chain between palnts and insects.2013
Author(s)
Miyagi, A., Kawai-Yamada, M., Uchiyama, M., Ojima, N., Suzuki, K. and Uchiyama, H.
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Journal Title
Metabolomoics
Volume: 9
Pages: 1254-1261
DOI
Peer Reviewed
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