2012 Fiscal Year Annual Research Report
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23229005
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
谷口 克 独立行政法人理化学研究所, 免疫制御研究グループ, グループディレクター (80110310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 通成 独立行政法人理化学研究所, 免疫制御研究グループ, 研究員 (20333487)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | リンパ球分化 / 転写因子 / サイトカイン産生 / iPS / high throughput RT-qPCR / RNA-sequence |
Research Abstract |
NKT細胞標的治療が先進医療Bに承認され、人工NKT細胞の実用化が期待されている。本研究では、NKT駆細胞系列決定機序を解明し、任意の機能を持つNKT細胞分化の誘導を可能にすることを目的とした。 NKT細胞は、胸腺DP段階でCD1d選択後、3種類のNKT細胞:Th2型、Th17型,Th1型に分化するとされていたが、それ以前のDN段階にNKT前駆細胞を見いだした。本年度、NKT前駆細胞の1)濃縮精製法確立:100%純度で前駆細胞を得るために、NKT細胞を除いたDN分画を単細胞分離後、唯一マーカーVa14遺伝子発現を指標に前駆細胞を選別し、一細胞RT-qPCR解析により、特異的表面分子(CD117-, CD24-, CD5+, CD27+, Slamf6-, CD39+, Cxcr3+, Cd163l1など)を同定。抗体を用いて、存在率80%程度まで濃縮できた。2)特異的転写因子同定:濃縮分画を用いてRNAseq法で、濃縮分画に発現する転写因子を14個抽出。さらに、100%純度の前駆細胞100個を集めたサンプルを用いてRT-qPCRを行い、特異的転写因子10個同定。3)2種類の前駆細胞発見:転写因子発現パターンからCD39+/-2種類の前駆細胞を発見。4)分化・機能に関わる転写因子:同定した転写因子はLIM、フォークヘッド、TFA,PAR, HOX, RTR, runtドメインを持つものなど数種類に分類でき、shRNAを用いた解析から、NKT細胞分化を抑制するもの、サイトカイン産生(機能)を抑制するものに分類できた。5)全発現データの多変量解析により、2つの前駆細胞は共にNKT細胞の90%を占めるTh1型系列に分化することが示唆され、培養実験結果もこれを支持したことから、CD39-細胞は系列決定直後の細胞で、CD39+細胞に移行後Th1NKT細胞へ最終分化するものと思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNステージに存在するNKT前駆細胞は、低存在率で細胞表面マーカーの詳細も明らかでなく解析が困難であったが、前駆細胞の分離技術の確立が実験計画遂行のブレイクスルーとなった。 A) 関連遺伝子の探索 胸腺NKT前駆細胞に特徴的な細胞表面分子の同定で、新たな抗体を用いた効率的な高純度の前駆細胞分離技術を確立し、候補遺伝子の網羅的な探索を加速させった。すなわち純度の高い細胞集団の全遺伝子の網羅的な発現定量が、次の解析を可能にした。1) high throughput一細胞RT-qPCRで同定した転写因子と表面分子の候補遺伝子群の発現結果の検証、2)新規の候補遺伝子抽出とRT-qPCR による確認(転写因子、表面分子、情報伝達分子、ケモカイン受容体およびpri-miRNAなど)、3)多変量解析による前駆細胞の機能分化系列が示唆され、機能的分化の解明の一端が明らかになった。現在までに全遺伝子網羅的に候補遺伝子の選択がなされた。 B)候補遺伝子の機能解析 すでに確立したiPS 細胞やクローンES 細胞の誘導培養系を用いてNKT 細胞分化の機能阻害実験での探索は順調に進行している。高純度のマウス個体由来のNKT前駆細胞を用いた実験系も検討中である。機能阻害実験で関連性を見いだした遺伝子については、遺伝子欠損マウス樹立と個体での解析も進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子欠損マウスを用いたNKT細胞の発生と機能分化の鍵を握る遺伝子群の解析を中心に行なっていく。さらに遺伝子発現とクロマチン変化を時系列で統合的に理解し、NKT 細胞の分化と機能を制御するコアファクター同定とメカニズム解明を目的に研究を推進していく。 1)NKT細胞系列決定遺伝子群の同定と機能遺伝子の発現制御メカニズム解明 機能解析から同定した遺伝子群については、遺伝子欠損マウスを用いた解析を押し進めて分化や機能に対する重要性を明確にしていく。同定した他の転写因子、シグナル分子、ケモカイン受容体との相互関係も検討していく。さらに本研究において、当初予想していなかった前駆細胞特異的に高発現する数種類のpri-miRNAの発現を見いだした。miRNAはRNA干渉やエピジェネティック変化による遺伝子発現の調節が知られており、NKT細胞分化への関与も報告されている。前駆細胞の濃縮・回収が容易になったが、存在量の少ないmiRNA解析には増幅が必要である。少量のNKT前駆細胞の網羅的なmiRNAの発現プロファイリングをRNA sequenceで確立し、発現解析および機能解析を行なっていく。 2)iPS細胞由来プレNKT細胞、NKT細胞の遺伝子発現とエピゲノム状態のプロファイリング クロマチン解析とゲノムDNAメチル化解析を行い、系列決定と機能獲得のエピゲノム状態での理解を目指す。iPS/NKTクローン-ES細胞由来NKT前駆細胞と各分化ステージの細胞について、エピゲノムプロファイリングを行う。クロマチン免疫沈降(ChIP)あるいはメチル化DNA濃縮と次世代シークエンス法を組み合わせたゲノムワイドな網羅的エピジェネティクス解析から、遺伝子発現制御の動態を解析する。また、濃縮技術を用いたマウス由来NKT前駆細胞と成熟型NKT細胞を用いた微量細胞での解析法の可能性も検討する。
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Research Products
(28 results)
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[Journal Article] Development and Function of Invariant Natural Killer T cells Producing TH2- and TH17-cytokines.2012
Author(s)
Watarai H, Sekine-Kondo E, Shigeura T, Motomura Y, Yasuda T, Satoh R, Yoshida H, Kubo M, Kawamoto H, Koseki H, Taniguchi M.
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Journal Title
PLoS Biology
Volume: 10
Pages: e1001255-5
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Type II NKT cells stimulate diet-induced obesity by mediating adipose tissue inflammation, steatohepatitis and insulin resistance.2012
Author(s)
Satoh M, Andoh Y, Clingan CS, Ogura H, Fujii S, Eshima K, Nakayama T, Taniguchi M, Hirata N, Ishimori N, Tsutsui H, Onoé K, Iwabuchi K.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 7
Pages: e30568-e30568
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Accumulation of Activated Invariant Natural Killer T Cells in the Tumor Microenvironment after α-Galactosylceramide-Pulsed Antigen Presenting Cells.2012
Author(s)
Nagato K, Motohashi S, Ishibashi F, Okita K, Yamasaki K, Moriya Y, Hoshino H, Yoshida S, Hanaoka H, Fujii SI, Taniguchi M, Yoshino I, Nakayama T.
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Journal Title
J Clin Immunol.
Volume: 32
Pages: 1071-81
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Activation of natural killer T cells ameliorates postinfarct cardiac remodeling and failure in mice.2012
Author(s)
Sobirin MA, Kinugawa S, Takahashi M, Fukushima A, Homma T, Ono T, Hirabayashi K, Suga T, Azalia P, Takada S, Taniguchi M, Nakayama T, Ishimori N, Iwabuchi K, Tsutsui H.
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Journal Title
Circ Res.
Volume: 111
Pages: 1037-47
Peer Reviewed
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