2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23229008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 和秀 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (80124379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 秀俊 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (90444794)
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Keywords | 神経障害性疼痛 / アストロサイト / ミクログリア / グリア神経相互作用 / 転写制御因子 |
Research Abstract |
本年度は、詳細なトランスクリプトーム解析のための基礎情報として神経障害後マウスの脊髄内遺伝子発現情報をDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析した。術後1、3、10日目に損傷側、非損傷側の遺伝子発現を解析したととろ、STAT3を含む遺伝子群25個で一過性または時間依存的な発現増加が認められた。神経障害性疼痛におけるアストロサイトSTAT3シグナルが細胞増殖を通じて重要であることを我々はラットで示してきたので(Brain, 2011)、マウスでも同様の検討を行ったところ、末梢神経損傷後マウスではアストロサイトの細胞増殖はまったく認められなかった。遺伝子改変マウスを使用して実験を進める必要性から、マウスにおけるアストロサイトの基礎的なデータを集積しなければならないと考えた。現在、マウスでのアロディニアのタイムコース、GFAPの発現増加やアストロサイトの形態的な変化などのデータ収集に務めている。一方、アストロサイトのマイクロダイセクションをするにあたり、アストロサイトに色素を注入した結果、これまでGFAP染色によって観察していたものは単なる骨格に過ぎず、実体はもっと広範囲に突起を張り巡らしていることが分かった。このようなアストロサイトの複雑な形態を考えると、パソコン画面上で領域を指定してアストロサイ,トだけを手動で切り出すマイクロダイセクション法は不適切と考えざるを得ない。今後はセルソーターを用いてアストロサイトを選択的に回収後トランスクリプトーム解析を行うこととした。神経因性疼痛発症時におけるP2X4受容体の細胞内局在の変化を検討した結果,神経因性疼痛に関係が深いCCL2およびCCL12がP2X4受容体のリソゾームから細胞膜分画への移行を促進することがわかった。さらに,その発現増加はCCL2の中和抗体により抑制された。ミクログリアにフィブロネクチンを処置するとCCL2の放出が起こる事もわかり,放出CCL2が自らの受容体CCR2に作用し,P2X4受容体の細胞膜への移行を促進していると考えられる。今後、CCL2を介したアストロサイトとの関係が注目される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
STAT3が関与する細胞分裂に関してラットとマウスでの種差という予期せぬ結果に遭遇したが、STAT3の痛みにおける重要性はマウスでも変わらず、どのような機序であるかを研究することは重要であり、楽しみである。また、マイクロダイセクション法はアストロサイトの形態が驚くほど複雑であるという事実により使えなくなったが、むしろセルソーターを用いるべきとの結論に達し、これは研究のスピードを速めることにつながる。このように、本来の目的であるミクログリアとアストロサイト連絡と神経障害性疼痛との関係は滞りなく探求できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
神経障害性疼痛におけるアストロサイトSTAT3シグナルが細胞増殖を通じて重要であることを我々はラットで示してきたので(Brain,2011)、マウスでも同様の検討を行ったところ、末梢神経損傷後マウスではアストロサイトの細胞増殖はまったく認められなかった。この種差は重大であり、遺伝子改変マウスを使用して実験を進める必要性から、マウスにおけるアストロサイトの基礎的なデータとして、アロディニアのタイムコース、GFAPの発現増加やアストロサイトの形態的な変化などのデータ収集に務めていて、順調に推移している。また、アストロサイトのマイクロダイセクション法であるが、アストロサイトに色素を注入して形態を観察したところ、これまでGFAP染色によって観察していたものは単なる骨格に過ぎず、アストロサイトの実体はもっと広範囲に突起を張り巡らした複雑なものであることが分かった。このようなアストロサイトの複雑な形態を考えると、パソコン画面上で領域を指定してアストロサイトだけを手動で切り出すマイクロダイセクション法は不適切と考えた。別の方法として、今後はセルソーターを用いてアストロサイトを選択的に回収し、その後トランスクリプトーム解析を行うこととした。この方法だと細胞回収にスピード感があり、脊髄後角をあらかじめ分割すれば研究スピードは速まると考えられる。
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Research Products
(38 results)
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[Journal Article] JAK-STAT3 pathway regulates spinal astrocyte proliferation and neuropathic pain maintenance in rats2011
Author(s)
M.Tsuda, Y.Kohro, T.Yano, T.Tsujikawa, J.Kitano, H.Tozaki-Saitoh, S.Koyanagi, S.Ohdo, R-R Ji, M.W.Salter, K.Inoue
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Journal Title
Brain
Volume: 134(4)
Pages: 1127-1139
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Heterologous down-regulation of angiotensin type 1 receptors by p urinergic P2Y2 receptor stimulation through S-nitrosylation of NF-κB2011
Author(s)
M.Nishida, M.Ogushi, R.Suda, M.Toyotaka, S.Saiki, N.Kitajima, M.Nakaya, K.-M.Kim, T.Ide, Y.Sato, K.Inoue, H.Kurose
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Journal Title
PNAS
Volume: 108(16)
Pages: 6662-6667
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Microglia in pain signalling2011
Author(s)
Makoto Tsuda, Takahiro Masuda, Kazuhide Inoue
Organizer
10th Euroglia Meeting on Glial Cells in Health and Diseases
Place of Presentation
チェコ、プラハ(招待講演)
Year and Date
20110913-20110917
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