2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23240029
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
都甲 潔 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (50136529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志堂寺 和則 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (50243853)
林 健司 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (50202263)
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Keywords | 感性計測評価 |
Research Abstract |
渋味受容膜の開発にあたり,味物質の受容膜への吸着量を測る手法を確立し,渋味物質の受容膜への膜電位と吸着量計測を行った.その際,吸着量の強いと考えられる苦み物質に対する検証も予め行った.その結果,脂質濃度に最適値が存在することを見い出し,渋味受容膜を開発することができた.辛味センサの開発については辛味物質や測定方法に関する情報を収集した.さらに,味覚センサと匂いセンサを用いることで,濃縮リンゴジュースのおいしさの客観的評価手法の開発を行った.その結果,官能検査とセンサ出力の間に良い相関が見られ,官能値を酸味センサ出力,糖度計出力,匂いセンサ出力の非線形多項式で表現することに成功した.しかしながら,甘味の測定には味覚センサは使用できず,甘味用センサの感度向上が課題として残された.また,複数の味を生じ,かつ味間相互作用(苦みの抑制効果)を有する物質の対象にアミノ酸を選び,その味の数値化に着手した. 食品のおいしさと安全性評価のために,サンプルの劣化による異臭悪臭検出を試み,パンの劣化時に発生する匂い物質をガスクロマトグラフィにより分析した.その結果,butanoic acidや2-butanoneが劣化に伴って増加し,ダメージ臭となることが分かった.また,劣化臭を選択的に測定できるアクリル酸分子鋳型ポリマーの構築を行った. 視覚情報については,魚(ブリ)および青果物(パイナップル,トマト,チンゲンサイ)の色が鮮度評価に及ぼす影響について検討した.魚および青果物ともに,鮮度の主観評価を対象物の色変化から予測する回帰式を導くことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
甘味センサに大きな問題点が見つかったため甘味センサの感度向上化を最優先事項とし,辛味のセンシング受容部,センシングシステムの最適化を後に回すことにした.しかし,試行として味覚センサと匂いセンサの統合を行い,官能値をこれらの出力で表現することに成功した.また,甘味と苦味を呈し,かつ苦味抑制効果をもつ物質であるアミノ酸を対象に選び,その数値化に成功しつつある.小型化味覚センサの開発も順調に進行中である.加えてパンの劣化時のダメージ臭の化学物質を同定し,劣化を測定可能なポリマーの構築を行った.視覚については,魚および成果物の鮮度を色変化から予測する回帰式を導くことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
味覚については,甘味センサの高機能化の研究開発を推進すると同時に渋味と辛味センシング手法を確立する.小型化味覚センサの開発を継続する.味覚,嗅覚,視覚の共通対象にトマトを選び,その品質を3つのセンサで評価する.
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