2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高齢社会における社会的孤立を回避させるためのコミュニケーション・ツールの開発
Project/Area Number |
23240030
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
椎塚 久雄 工学院大学, 情報学部, 教授 (20100307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 節二 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (70136216)
大武 美保子 東京大学, 人工物工学研究センター, 准教授 (10361544)
内山 俊明 筑波大学, 人間総合科学研究科, 講師 (50334058)
庄司 裕子 中央大学, 理工学部, 教授 (30286174)
林 真理 工学院大学, 工学部, 教授 (70293082)
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Keywords | 超高齢社会 / 社会的孤立 / コミュニケーション / 認知症 / 脳血流 / 福祉 / 介護 |
Research Abstract |
本研究は、超高齢社会を迎えた現在、社会的孤立から高齢者を救い出すための保護支援システムを構築することを目的としている。2011年度は高齢者問題に関する基礎的な調査を主に行った。特に、脳血流とコミュニケーションとの関係を明らかにする目的で、次のような方法で検討を行った。昔のことを思い出させることが、コミュニケーションツールとしての機能を提供するか否かの検証を、脳血流の変化としてとらえ、fNIRSを用いて計測する;(2)ジェスチャー等の身体動作をとり入れると、コミュニケーションがうまくいくのか否かの検証;(3)視覚コミュニケーションと聴覚コミュニケーションをそれぞれ単独に行う場合と、両者を合体させたコミュニケーションを行う場合の脳血流の変化を計測する;(4)コミュニケーションの本質は相手とのやりとりであるから、複数の感覚情報(例えば、視覚と聴覚の情報)を加えると、コミュニケーションの歩留まりが良くなるのかについての検証。 一方、国内外の高齢者施設および高齢者ケアの実態把握のために、複数の施設の訪問を行った。特に、介護・福祉の先端を調査して日本との違いを把握するために、デンマークのネストヴェズ市を訪れて福祉と介護の実態調査を行った。その結果、特に日本の介護の課題は次の5つがあることが明らかになった。 (1)給料が安いから介護人が育たない。 (2)中福祉、中負担だから介護も中途半端になっている。 (3)介護の技術が不十分-腰を痛める人が多くいる。 (4)介護と医療との連携をどうするのか-介護にはリハビリテーション医学が欠かせない。 (5)国民が介護の実態を理解できるシステムを作る。 上記5つの項目をさらに詳細に検討することで、高齢者を社会的孤立から救い出すための保護支援システム構築のための根本的な問題の本質が見えてくるものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高齢者の社会的孤立を回避するためのコミュニケーションツールは、多岐にわたっていることが明らかになった。特に、ハードウェアを使用しなくても、ノンバーバルな領域でのコミュニケーションツールの可能性が明らかになった。また、国民が介護の実態を理解できるシステムを構築することは、安心な社会システムの理解につながるものであることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)「あやとり」「折り紙」を用いたコミュニケーション促進に関する検証:「折り紙」と「あやとり」を行うことが、脳血流の活性化を促進させるか否か、空間的把握や創造力が脳血流に及ぼす影響について、fNIRS、視線追跡Tobiiグラス、脳波による喜怒哀楽計測装置等を用いて検証を行う。 (2)高齢者コミュニケーションの接点を、「かわいい」を要として「ファッション」、「化粧」、「写真」に向ける。かわいい」自分を演出することで自己存在感を得ることから、コミュニケーションを促進させることで、脳血流や脳波の変化から喜怒哀楽を計測し、検証を行う。同時に、「かわいい」という概念を外見的なものではなく、beingのかわいさに向けて、いわゆる「かわいい高齢者」の姿を明らかにする。
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Research Products
(6 results)