2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23240032
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
相田 満 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (00249921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 和歌子 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00243288)
三田 明弘 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (00277865)
野本 忠司 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (20321557)
原 正一郎 京都大学, 地域研究統合情報センター, 教授 (50218616)
古瀬 蔵 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (50462172)
石井 行雄 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60241402)
梅川 通久 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (80372548)
山田 奨治 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (20248751)
松井 知子 統計数理研究所, モデリング研究系, 教授 (10370090)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オントロジー / LOD / トピックマップ / 漢字 / 古事記 / 説話文学 / GIS / 古事類苑 |
Research Abstract |
①概念検索の実用化では、併行して進めた「観相トピックマップ」データベースの熟成に取り組んだ。 ②GISを取り込んだオントロジデータベース構築のために、現地で取材した写真ファィルのEXIF情報に記載されるGIS情報と高度情報と地図情報を基盤とする「供養碑データベース」を構築した。後者は生き物を概念(主題)と供養碑の地図で分類するトピックを立てて検索するインターフェイスの、LODの老舗ともいえるTopicMapにより運用されるが、今後もこれを応用したデータベースメニューを増やす予定である。 ③『古事類苑』を利用したデータベースの高次化実験では歳時部をサンプルに、暦日情報の埋め込み・地名情報の埋め込み実験の準備を進めた。歳時部を選んだのは、年中行事の記録で暦日情報が、祥瑞・災異の記事で地名情報と暦日情報の両様のデータの採録が期待できるからである。さらに、昨年度入力を行った姓名部データは25年度に後半部の入力を終え、公開準備を進められる段階となった。 ④知識発見の取り組みについては、知識基盤の基層をなす「漢字オントロジ」を利用したテキスト分析が成果を上げつつある。昨年度に、日本人が最初に受容した漢籍に『千字文』『論語』があるという伝承に基づき、『古事記』からそれらの文字列を削除、残余の文字列の様相を分析する実験を行って浄土仏典使用の痕跡を発見したことを発表したが、今年度は改めて研究史の確認などの手続きを再検証し、漢字基層概念という考え方とともに国際学会で成果を発表し、文学研究におけるオントロジ概念の有効性を意義づけた。また、分担者三田はオントロジに着目して説話と中国類書の構造比較を試み作品の意義付けを行う試みで成果を挙げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における近2-3年の事例報告は、まず研究論文で仮説を提示し、それを立証するためのデータ蓄積とシステム構築をデザインすることにより、研究手法の有効性を提示する内容を持つものが増えるようになってきた。その一方で、総合的・汎用的な利用を目指して、大規模データベースにつながるデータ蓄積を地道に重ねる息の長い研究スタイルも継続している。 近年進めている研究事例の一つに、東歌が東日本大震災被災地に重なることを発見したことを契機として、そのことを確実に立証するための研究モデルとデータベースの構築がある。具体的には、歌の詠まれた地名を研究史を追って緯度経度を確定したり、それを地図上にプロットすることを行った研究実践モデルから導き出せる仮説を立証するためのデータ蓄積・データベース構築を進めているものである。このような限定的モデルとわかりやすい命題をわかりやすく、かつ説得力をもった形で提示することに取り組む過程で、緯度経度情報を持つ歌枕辞書を整え用意する必要性も明確になってきた。このような手法は、比較的効率的にわかりやすい結果を導き出しやすい点で有効な事例といえよう。 膨大なデータを蓄積して、そこから帰納的・自動的に知識発見を導き出すシステムを構築することが理想的なことは言うまでもない。しかし、本研究規模では、かえって非効率となる可能性も見えてきたことも事実である。そのことは、オントロジの本義である精選されたデータの運用という点からも逆効果となってしまうと言っても過言ではない。その意味で、限られた時間の中で集中的に取り組み、確実な結果を出すための道筋が見えてきたことも成果の一つと言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
蓄積された膨大なデータから知識発見を行い、その成果を発信・共有する手法は、人文情報学においては常套的なスタイルとなっている。しかし、本研究では、まず研究論文で仮説と研究モデルを提示し、データベースの構築でそれを追証する形をとるようになってきた。 たとえば、『古今和歌集』の東歌が東日本大震災被災地に重なることの発見仮説には多くの賛同者を得ているが、さらにその保証のために、歌の詠まれた地名の緯度経度を確定し、地図にプロットすることをある程度自動的に可能する基盤辞書を整備したり、『古事類苑』歳時部データに暦日・緯度経度情報を埋め込んで災異の情報を自動的に明示することができるデータベースを構築することなどである。この方法は、完成形を事前にシミュレートすることによって、粒度の高いデータモデルとして説得力のある枠組みの提示方法として有効だろう。本研究の主題「具現化・高次化」もそこにある。 最終年度も近づいてきたこともあり、今後はその効率性に鑑み、知識発見モデルをデザインするにあたり、「答え」を再現することが可能な粒度の細かいデータモデルを整えることにも留意したい。そのためにも、既存の資源や蓄積途中の情報資源を改めて整備・実装することで、新たな可能性を拓く新規データベースの作成にも取り組みながら、各データベースについて、わかりやすい説明を加えるなど、ユーザビリティへの配慮も行う予定である。 幸いに先年度本研究を中心に行われた研究成果をもとに連続講演を中国で行った。内容は作成したデータベースに基づいた「物語のある」研究成果・モデルの発表が主であったが、幸いに非常な高評価を得ることができた。本年度に於いては、成果の社会的還元を図るためにも、当該講演を基礎にした研究成果を単著にまとめることもめざしたい。
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[Presentation] 東亜民俗与宗教2014
Author(s)
相田満
Organizer
2014年鷺島哲譚(華僑学院哲学与社会発展学院)
Place of Presentation
華僑大学厦門校区図書館[中国]
Year and Date
20140321-20140325
Invited
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