2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本人の身体活動量に関与する環境・遺伝要因とその相互作用に関する網羅的研究
Project/Area Number |
23240089
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
宮地 元彦 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 健康増進研究部, 部長 (60229870)
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Keywords | 身体活動 / 遺伝要因 / 環境要因 |
Research Abstract |
平成9年と平成21年の比較において、15歳以上の1日の歩数の平均値が、男性で8,202歩から7,243歩、女性で7,282歩から6,431歩と、約1,000歩も減少した。歩数の減少は身体活動や運動の重要性を認識するものの、実際にそれらを"行動"に起こすことは困難であることも事実である。身体活動・運動行動において、一部、遺伝要因が関与していることが報告されていることから、本研究では、これらの身体活動・運動行動を規定する遺伝要因の解明を目的に、候補遺伝子アプローチ及び網羅的アプローチの両側面から検討を行った。本年度において、候補遺伝子アプローチとして、従来から摂食行動に関連があるとされるレプチン受容体遺伝子多型と身体活動の関係について検討を行ったところ、低強度身体活動時間や不活動の時間と関連していることが示唆された。また230名を対象としたGWASを用いた網羅的解析の結果、候補遺伝子として抽出されたAnoctamin6とCACNA1C遺伝子多型について490名を対象に身体活動・運動行動との関連を検討した結果、Anoctamin6遺伝子多型が高強度身体活動時間と関連している可能性が示唆された。来年度は遺伝要因以外の環境要因についても検討し、身体活動・運動行動に影響を及ぼす因子について明らかにし、個人の身体活動量増大のための効果的なアプローチ方法の開発に寄与することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のベースとなるコホート参加者のリクルートは計画通り1,000名が完了し、さらに新しく佐久のコホートから3800名の参加者から同意を得ることもでき、計画以上に進展している。遺伝的要因に関してはGWASによる網羅的解析を230検体分実施でき、その結果に基づく候補遺伝子解析も2つの遺伝子多型で始められていることから、計画以上に進んでいる。環境的要因に関しては、システマティックレビューが終了し、1年目の計画通りといえる。環境要因と内部要因の相互作用について、実験や仮説構築が終了しておらず、若干遅れている。以上を総合的に勘案し、全体的には、(2)おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目は研究代表者・協力研究者がそれぞれ独立して作業を進めてきた。2年目は1年目以上に頻繁に研究会議を開催し、相互の情報交換を図ると共に、同じコホートのデータを違う側面から個別に検討してきたが、全ての情報を突合して分析をしていくこととする。これらにより、本研究の主眼とする、環境・遺伝因子の相互作用を検討することとする。
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