2011 Fiscal Year Annual Research Report
国際市場を前提としたファッションのマーケティング・設計・製造過程と工学的体系化
Project/Area Number |
23240100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大谷 毅 信州大学, 繊維学部, 特任教授 (00092867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高寺 政行 信州大学, 繊維学部, 教授 (10163221)
森川 英明 信州大学, 繊維学部, 教授 (10230103)
乾 滋 信州大学, 繊維学部, 准教授 (10356496)
矢野 海児 杉野服飾大学, 服飾学部, 教授 (40349147)
宮武 恵子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (40390124)
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Keywords | ファッション工学 / クチュールメゾン / ファストファッション / 設計過程 / 製造工程 / 国際市場 / テキスタイル / 認知限界 |
Research Abstract |
国際市場における日本のファッション(服飾とテキスタイルを含み、服飾とは身体表現に重きを置く既製服を注視)ビジネスは存在感が薄い。その要因を技術的経営的視点から究明し、ソリューションの模索を可能とするファッション工学の体系化を、繊維工学の延長上に提示しようとする。 本年度の研究実施計画に沿い、【分野1・服飾分野】では、(1)国際市場を持つクチュールメゾン(以下CM)に関する先行調査(08-10年度基盤研究A20240067)内容について、テキスタイルとの関係に配慮しつつレビューし、さらに(2)近年有力視される国際市場を前提としたファストファッション(以下FF)業態をフィールド加え、a)ジャカルタ(含バンドン)、ダッカ・プノンペン(各含近郊圏域)にある製造工程の実態から設計過程を推測するとともに、b)ニューヨーク・パリ・ソウル・上海・東京・ジャカルタなどにあるFF営業店の店頭商品から商品化計画を推定、さらにc)各店から試料を得て実施したリバースエンジニアリングによるデータから設計過程を推測した。以上の作業から、「70億人市場」の概念を抽出し、それに適合するファッション製品の設計過程・製造工程の構築しつつある。 ついで【分野2・テキスタイル分野】では、服飾設計者のテキスタイル設計者提示に対する認知的限界を探る手掛かりとして、(1)分野1で得たデータからCM・FF両服飾事業業態におけるテキスタイルの選択・発注過程を推量する一方、(2)両業態に存在する設計主務者の選択過程を解明するため、a)繊維工学的には既存体系による総合的な検討を行い、あわせて大規模な国際繊維機械展であるITAM(Barcelona/2011年9月22-29日)にて確認した本研究競合ソフトXを用いた実験を計画したほか、b)認知科学においては、シナリオ構築・課題推進・美的感性など服飾設計に密接な関わりがあると思われる人間の認知活動について検討、c)感性工学との関連で触覚代替に関する文献等の研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【分野1】国際市場前提のファッショシ製品の設計を推測するという作業のため、ことにファストファッション(FF)のビジネススキームについて、より明解に説明できるよう掲記の研究を順調に進めたが、FFのフィールドは想像以上に、あるいはクチュールメゾン(CM)以上に、ダイナミックに国際化しており、そのフォローが重要である。【分野2】テキスタイルに関わる設計者(含主務者)の認知限界を探る作業に向けて、実験の準備が整いつつあり、実質的な展開を急いでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
【分野1】FFは製品を定番・トレンドに2分し、サブコントラクター(含テキスタイル事業者)を有効に活用し、設計過程・製造工程を想像以上に全地球的に構築していた。よって24年度は、(1)FF事業者とテキスタイル事業者の相互作用(恒常的取引の成立要件など)、(2)大規模国際展示会の機能(流行の認知と商品化計画の一環として)などの調査を進める。調査の過程では試料の収集とリバースエンジニアリングを繰り返すほか、所要のヒアリングと文献調査をおこなうが、本研究が抱いていたFFの設計過程の概念そのものを再検討する作業が必要になる。 【分野2】 テキスタイル設計者とFFの設計者とのテキスタイルの認知に関わる限界を引き続き検討し、そのなかからテキスタイルデータの標準化の糸口が見えることを作業の目標とする。
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Research Products
(35 results)