2011 Fiscal Year Annual Research Report
国際的な生涯学習コミュニティ構築のための学習コンテンツ共有・流通システムの研究
Project/Area Number |
23240110
|
Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
山田 恒夫 放送大学, ICT活用・遠隔教育センター, 教授 (70182540)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 眞木子 放送大学, ICT活用・遠隔教育センター, 教授 (90333541)
辻 靖彦 放送大学, ICT活用・遠隔教育センター, 准教授 (10392292)
森本 容介 放送大学, ICT活用・遠隔教育センター, 准教授 (00435702)
仲林 清 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (20462765)
小林 亜樹 工学院大学, 情報学部, 准教授 (30323801)
梶田 将司 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (30273296)
小川 寿美子 名桜大学, 人間健康学部, 教授 (20244303)
|
Keywords | 学習デジタルコンテンツ / 学習オブジェクト / メタデータ / 生涯学習 / 電子出版 / コンテンツ流通 / 教育の質保証 / 国際標準化 |
Research Abstract |
本研究では、21 世紀のグローバル生涯学習社会で必要となる、自律学習の多様化・最適化を実現するシステム、膨大なコンテンツと教育情報の蓄積と共有の方略、グローバル生涯学習コミュニティの特性を明らかにするため、5つのグループに分かれ研究を進める。本年度は初年度にあたり、各研究グループとも、各国における先行研究・事例の収集、各国におけるニーズ調査、国際標準化の最新動向調査、プロトタイプシステム・コンテンツの設計(サブグループによる)を実施した。また、海外共同研究者も参加した公開研究会を所属機関、関係団体と共催で実施した。 「最適なコンテンツを発見利用できる高度な検索法(高度検索)」研究グループでは、GLOBEやAAOU加盟機関など、海外の公開大学や生涯学習機関を中心に、各国における先行研究・事例を、インターネット・訪問調査により収集分析した。「学習コンテンツ配信流通サービスの質保証と標準化(質保証標準化)」研究グループでは、同様に先行研究・事例を収集分析した。IMS-GLC 等国際標準化団体に加え、CHEAなど高等教育機関認証団体における最新動向についても調査を進めた。「無償/有償コンテンツ流通システム(高度コンテンツ流通)」研究グループでは、電子出版とコンテンツ流通に関し、先行研究・事例、国際標準化の最新動向を分析した。国立情報学研究所のメタデータ蓄積システムとの間で、メタデータ再利用の予備的検討を行った。「多言語多文化を尊重した地域対応化(地域対応化)」研究グループでは、モデル領域として国際ボランティア教育等を選定し、素材型コンテンツを収集、メタデータ項目の検討を行い、学習コンテンツの地域対応化と国際共同開発の要件と、その多文化対応支援サブシステムの仕様を検討した。グローバル生涯学習社会研究グループでは、公開大学や生涯学習機関を中心に、各国における先行研究・事例を調査した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各研究グループとも、各国における先行研究・事例の収集、各国におけるニーズ調査、国際標準化の最新動向調査等調査研究については、予定通り達成できた。プロトタイプシステム・コンテンツの設計については、国際動向の変化があり、翌年度に繰り越さざるを得なかった。海外共同研究者も参加した公開研究会については、「OUJ/GLOBEセミナー」とそのサテライトイベントという形式で、所属機関(放送大学ICT活用・遠隔教育センター等)、関係団体(大学ICT推進協議会、日本オープンコースウエアコンソーシアム等)と共催、100名以上の関係者と情報共有ができた。 プロトタイプシステムの設計において、追加の調査が必要となったのは、Massive Open Online Courses(MOOCs)が出現したためである。日本でも2013年に入り広く認識されるに至るが、2011年度の段階ですでに米国ではその構想が明らかとなり、本科研研究のめざすところと重なる部分があることから、追加の調査が必要となった。2012年に入り、海外でいくつかのMOOCsプラットフォームが立ち上がったが、理想(目標)とはほど遠く、ドロップアウトも90%に達するという状況である。このため、本科研の貢献として、MOOCsの枠組みにおいても利用可能なサブシステムとしても再設計を行う可能性がでてきている。また同様の背景から、「無償/有償コンテンツ流通システム(高度コンテンツ流通)」研究グループでは、カリフォルニア州立大学システムとの間で、Digital Marketplace の国際運用実験に関する共同研究を計画したが、現在再検討中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2012年度は、引き続きMOOCsの最新動向にも配慮しながら、繰越分のプロトタイプシステムの開発をすみやかに進める計画である。国内でも、MOOCsに対する関心の高まりがあり日本版MOOCsプラットフォームの開発構想もでてくることが予想されるため、研究期間の途中ではあるが、研究成果については研究者コミュニティ等と共有できるよう、研究成果の公刊や公開研究会の開催を進めたい。 また、本科研は国際的な視点でグローバル生涯学習コミュニティの形成過程を研究対象としているが、MOOCsについてはアジアの生涯学習コミュニティも関心を示すところであり、本科研の海外研究協力者からは、こうした共同研究の可能性も要望されている。このため、「多言語多文化を尊重した地域対応化(地域対応化)」研究グループや「無償/有償コンテンツ流通システム(高度コンテンツ流通)」研究グループを中心に、MOOCsを軸としたグローバルなコンテンツ共有流通の可能性にも対応できるよう国際共同研究を推進したい。 もとよりMOOCsの開発には、桁違いの資金が必要とされ(米国の例)、本科研だけでそのプラットフォームができるものではないが、本科研の成果がMOOCsの共同開発やそのバックエンドの基盤技術(Learning Analyticsやビッグデータ)にも生かせるよう、研究目標計画に幅をもたせる予定である。
|
Research Products
(15 results)