2014 Fiscal Year Annual Research Report
迎賓館赤坂離宮天井絵画修復事業に関わる損傷と劣化原因の解明
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23240114
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
木島 隆康 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (10345340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐野 文良 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (10334484)
山梨 絵美子 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, その他 (30170575)
林 洋子 京都造形芸術大学, 芸術学部, その他 (30340524)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 文化財保存修復 / 天井絵画 / 絵画修復 / 文化財保存科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は前年度に引き続き天井絵画を対象に調査を継続した。現地調査は〈花鳥の間〉(108㎡の内、約50㎡)、〈羽衣の間〉(290㎡)、〈小食堂〉(16㎡)の3部屋、総面積約350㎡の調査を実施した。調査は光学調査を中心に超高精細デジタル撮影による正常光撮影、紫外線蛍光撮影、赤外線撮影を行った他、蛍光X線分析およびEDS分析から、天井絵画に使用された絵具の材料と技法、および過去の修復方法と材料について考察した。 天井絵画の損傷劣化の要因については、引き続き「保存環境」と昭和の修復時に用いた「修復方法と材料」の二つの観点から調査研究を行い検証した。平成26年度に調査を実施した3部屋の中で意外にも唯一目立った損傷がみられなかった部屋がある〈小食堂〉。小屋裏の木摺の状態を調査したところ、他の部屋と比べ木摺と木摺間に隙間がなく密に接して、外気の影響を受けにくい構造であることが確認された。「修復材料」による影響は、〈羽衣の間〉は昭和の修復時に北半分、南半分で補彩の材料および使用方法が異なり、肉眼観察でも補彩の変色の相違が確認された。修復材料による二次災害では、補彩に界面活性剤であるオックスゴールを多用したことが変色の要因の一つであることを平成25年度までの実験で示唆されたが、さらに天然樹脂(ダンマル樹脂)と顔料で作成した絵具も昭和の修復時に補彩絵具として使用されていることから、サンプルを用いて強制劣化実験を実施し変色への影響を検証し確認した。 また、これまでの美術史的調査から、天井絵画は室内装飾の一環として、フランスの室内装飾会社L.Alavoine社を通じて購入されたものであることを明らかにしたが、しかし『御造営誌』に出てくる「ペルツ」なる画家名は詳細なフランス国内調査でも特定することが出来なかったことが惜しまれる。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)