2011 Fiscal Year Annual Research Report
タイ・インドシナ諸国間の国境政治の多面的体系的解明:一次資料の相互比較を通じて
Project/Area Number |
23241082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村嶋 英治 早稲田大学, 大学院・アジア太平洋研究科, 教授 (70239515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 昌也 早稲田大学, 大学院・アジア太平洋研究科, 教授 (70127330)
笹川 秀夫 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 准教授 (10435175)
難波 ちづる 慶応義塾大学, 経済学部, 准教授 (20296734)
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Keywords | 東南アジア / 東アジア / 外交史・国際関係史 / 東南アジア史 / 国際協力論 / 少数者研究 |
Research Abstract |
今日の東南アジア大陸部の国境をめぐる状況は、経済的越境活動の活発化が見られる一方で、遺跡の帰属に関してタイ・カンボジア間に武力衝突が生じるなど、複雑さを増している。1世紀前の国境線出現に起因して生じた諸制度、政治活動、越境移民、紛争などを「国境政治」と総称すれば、国境政治に関する研究は今日的意義が極めて大きい。しかし、従来の研究は、国境の片側のみの資料に拠った片面的研究であり、しかも断片的である。本研究の新しさは、既存研究の限界を克服するために、各国の言語・資料に通暁した専門家チームを組織し、諸公文書館資料を横断的、双方向的に調査照合し、かつ実地調査も行うことによって、1世紀に亘る東南アジア大陸部の国境政治に関して既存知識に大幅な追加・修正を加え、初めての体系化を試みることにある。 2011年度は、研究代表者、3名の分担者、1名の連携研究者(伊藤友美神戸大学准教授)によって、バンコクの国立公文書館で1893年前後の暹仏事件時の国境画定に関する文献調査、プノンペンの国立公文書館でカンボジア国境地域の仏教(特にトアンマユット派)と教育に関する文献調査、フランスのエクサンプロヴァンスにある海外文書館、パリの国防省資料館およびホーチミン市の国立第二文書館で第二次大戦後のフランスのインドシナ復帰等に関する文献調査を実施するとともに、タイ、カンボジア、ラオス、ベトナムの国境地域を実地調査し、仏教のトアンマユット派寺院の現状、東南アジア大陸部の東西回廊および南部回廊の実態把握に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度の主要な調査、即ちバンコク、プノンペン、ホーチミン、フランス等の公文書館での一次文献収集、および、東南アジア大陸部各地の国境の実態調査は予定通り実施でき、また、マイクロフィルム等の資料も順調に入手できた。これらの資料に基づく、研究成果の一部を刊行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、バンコク、プノンペン、ハノイ、ホーチミン市およびフランスの公文書館で、筆写、複写、マイクロ化などの方法で資料収集調査を実施する。初年度において調査対象とした時期を拡大し、時代的広がりに心がける。また、同時に、前年に実施した予備的国境調査を基礎として、東北タイ、ラオス、ベトナム、カンボジアの国境地域で越境した諸民族の歴史、政治活動等について本格的聞き取り調査を開始する。
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Research Products
(18 results)