2013 Fiscal Year Annual Research Report
共感から良心に亘る「共通感覚」の存立機制の解明、並びにその発現様式についての研究
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23242002
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
栗原 隆 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (30170088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 尚武 人間総合科学大学, 人間科学部, 特任教授 (10011305)
座小田 豊 東北大学, 文学研究科, 教授 (20125579)
奥田 太郎 南山大学, 人文学部, 准教授 (20367725)
伊坂 青司 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (30175195)
山内 志朗 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (30210321)
鈴木 光太郎 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40179205)
宮崎 裕助 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40509444)
松井 克浩 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (50238929)
佐藤 透 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (60222014)
野家 伸也 東北工業大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80156174)
尾崎 彰宏 東北大学, 文学研究科, 教授 (80160844)
小田部 胤久 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (80211142)
城戸 淳 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90323948)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 思想史の組み替え / 文献資料の発掘 / 感性知の再評価 / 感情の解明 / 想起の機序の解明 / 人間学の再構築 |
Research Abstract |
2013年9月21日(土)、新潟大学駅南キャンパス「ときめいと」において、公開研究会「無限を具象するもの」を開催、絵画作品において無限の理念が具現化される存立機制の解明にあたった。 11月27日(水)、新潟大学駅南キャンパス「ときめいと」において、ケンタッキー大学のダニエル・ブリージール教授とマッギル大学のジョージ・ディ・ジョヴァンニ教授を招聘、国際シンポジウムを開催、発表者は、栗原隆、ブリージール教授、ジョヴァンニ教授、総じて、啓蒙期にあって、人間の有する無限の能力の展開に光を当てた「経験的心理学」や「人間学」が勃興、知を、無自覚的な想念から、意識化することを通して展開することを通して、超越観念論の体系が形成されたことを確認、時に無自覚的でさえある情念から、知へ、さらには、共同をはぐくみ形成するところにまで社会化されもすることを実証した。 2013年度の研究成果の一端は、栗原隆(編)『感性学――触れ合う心・感じる身体』(東北大学出版会、2014年3月)として刊行された。人間の感性は、決して主観的であったり、個別的であったりするだけでなく、間主観的で、互いに輻輳しあいながら、時空を超えたりもしながら往還しあうものであることを、多面的な角度から描出した。「感性の学」は、今日、ともすると芸術作品の解釈学の感を免れえない「美学」と解されているが、哲学へと、感性の学を捉え返すことを通してこそ、「共通感覚」の発現様式を解明できる見通しを得ることができた。またそれは、ヘーゲル哲学が成り立つ根源的な契機であることも確認された。意識化される以前のさまざまな不定形の想念を意識化していく概念装置こそ、ヘーゲルの『精神哲学』における「竪穴(Schacht)」の機能であることに想到、最終年度は、意識下の想念や観念の「想起」、「意識化」するメカニズムがどのように捉えられていたのかを考究する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究成果は、栗原隆(編)『世界の感覚と生の気分』(ナカニシヤ出版、2012年3月)、二年目の研究成果の一端は、栗原隆(編)『感情と表象の生まれるところ』(ナカニシヤ出版、2013年3月)、2013年度の研究成果の一端は、栗原隆(編)『感性学――触れ合う心・感じる身体』(東北大学出版会、2014年3月)として上梓することができたのは、想定以上の成果を上げていると判断できるからである。 また、研究者の国際交流も、重要な研究者を招聘することができたり、また、本研究の成果を国際発信することができたりしているのも、上記の判断をした一因である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であることから、研究全体を包括して総括する成果を上げることが必要である。「共通感覚」はもとより、「良心」も「共感」も、生の根源的感覚ともいえる。この共同研究の帰趨するところは、生の共同における人間像の確立という、人間学の再構築という使命を帯びるものだと見定めている。そうした共通テーマの下での出版計画を進めているところでもある。 また、1800年前後の、ドイツにおける「人間学」や「心理学」の試みを再照射している、ユトレヒト大学のPaul Ziche教授を招聘して、研究交流を行うことを通して、この共同研究の成果について、国際水準のレベルを維持することを通して、さらなる国際発信を試みてゆきたい。
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Research Products
(14 results)