2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23242005
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
森 雅秀 金沢大学, 人間科学系, 教授 (90230078)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2016-03-31
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Keywords | 儀礼 / 仏教学 / 王権論 / 身体論 / 表象論 |
Research Abstract |
本研究では儀礼を中心にアジアの仏教研究の再構築と体系化をおこなう。インド学、仏教学、宗教学、人類学、歴史学、美術史、建築学等の研究者による学際的な共同研究で、儀礼に関する組織的な資料収集、データ分析と公開、儀礼に関する理論構築、儀礼の歴史的展開と地域的変容の解明を進めた。 今年度は、全体の第3ステージに相当する「アジア仏教史の中で儀礼がどのように形成され、展開したか」、および第4ステージの「仏教儀礼が他の宗教とどのような交渉を持ったか」という二つのテーマについて、集中的な研究をおこなった。全体の研究集会を平成25年2月に開催し、この二つのテーマについて、具体的な研究発表と議論がおこなわれた。はじめのテーマに関しては、日本仏教の法会をとりあげ、中国で成立した法会が日本に伝播したときの歴史的な背景や、具体的な実施状況について検討された。また、後者については、日本の食文化を題材に、仏教と異宗教との交渉をテーマに議論された。 連携研究者による個別の研究には、ヒンドゥー教の儀礼と仏教儀礼の相互関係に関する総合的な研究を行った永ノ尾信悟の論文をはじめ、北九州における禅をとりあげた山部能宜論文、東南アジアの民間信仰について文化人類学的考察をおこなった西本陽一による国際学会での研究発表、さらに、中世日本における将軍や天皇の葬儀を扱った原田正俊による歴史学からの儀礼研究など、多くの研究成果を発表した。研究代表者自身も、ヒンドゥー教と仏教の交渉を、美術と儀礼の側面から考察した論考を発表し、上記の二つのテーマにもとづいた儀礼に関する学際的な研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は研究期間内に5つの研究ステージを設定し、各年度において、それを段階的に進めてきた。これまでの研究期間では、当初の計画どおり、第4ステージの一部まで到達し、研究は着実に進捗していると判断される。研究代表者および連携研究者、さらに研究協力者による研究成果の公表も頻繁におこなわれ、生産性もきわめて高い。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の平成26年度は、研究の第5ステージに相当する「宗教儀礼を中心とした人文科学の学際的研究のモデルの提示」を進めるとともに、最終年度である平成27年度に向けて、研究全体のとりまとめのための国際シンポジウム開催の準備を進める。
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Research Products
(9 results)